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記事2010年5月23日 2171号 (2面) 
教職員定数 学級数プラスアルファ検討へ
学級編制・教職員定数改善討議
7月に提言 対応すべき教育課題も
中教審初中分科会

 中央教育審議会初等中等教育分科会(分科会長=梶田叡一・聖ウルスラ学院理事長)は、五月十七日、文部科学省内で会合を開き、今後の小・中・高校等の学級編制及び教職員定数の改善について討議した。
 文部科学省は政府の平成二十三年度予算概算要求の提出期限(例年は八月末日)までに、新学習指導要領による授業時数・指導内容の増加への対応や、教員の負担軽減、様々な教育課題への対応等を進める観点から学級編制・教職員定数改善の方針を定め、必要な予算を財務省に要求することにしているが、初等中等教育分科会は教育の専門家の立場から、今後の学校教育のあるべき姿の議論等を通して、学級編制の標準の在り方等について七月には「提言」をまとめる予定。
 文科省は、中教審での審議とともに、教育関係団体、全国知事会など地方三団体、六人の有識者、国民の四つのチャンネルでこれらの問題に関して意見聴取・募集を進めており、そうした意見も考慮して、今後の方針を決定することにしている。
 中教審での検討に際しては、文科省から主な検討課題が示された。その検討課題とは、▽義務教育諸学校の教職員定数は、現行では学級数を基本に算定されているが、学級数だけではなく、児童生徒数の要素を加味することをどう考えるか▽現在約六万人措置されている加配定数について教職員配置の安定性・透明性を高めるため基礎定数化することについてどう考えるか。(※少人数指導、習熟度別指導等のため公立小・中学校では特例的に今年度で六万五百五人の増員のための予算措置がされている)▽小学校(低・中・高学年)、中学校、高校、特別支援学校の各学校種の特性や児童生徒の発達段階を踏まえた学級編制の標準の在り方をどのように考えるか(※小・中・高校の単式学級の場合、学級編制の標準は四〇人)など。
 また学校種ごとの特性や児童生徒の発達段階を踏まえ教職員定数の充実で対応すべき教育課題の必要性や優先順位をどう考えるか。(新学習指導要領による授業時数・指導内容の増加の反映、少人数指導の継続、小学校における理科をはじめとした専科教員配置の充実、障害を持つ児童生徒に対する指導の充実等)も検討課題としている。
 中教審の審議では、「教科指導だけではなく生徒指導も考えた一体的取り組みが必要」「学級数が減少すると学校が支えられない事態になる」「学校の裁量権の拡大を」「国庫負担制度を見直さないと地方は大変」「(学級編制の標準の)見直しは施設整備と表裏一体の問題」「学校単位で必要な教職員数を出すべきだ」「中核市で教員を抱え込んだら、山間部で良い教員を確保できるのか」などの意見が出された。次回六月十八日は国際比較なども行いながら審議を進める予定。

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