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記事2010年4月3日 2166号 (1面) 
高校無償化法案が成立
高校等就学支援金申請めぐり混乱懸念も
申請様式等も明らかに
高校生等の活躍期待

 公立高校の授業料を不徴収にし、私立高校等には就学支援金を支給する、いわゆる「高校無償化法案」が三月三十一日、参議院で可決・成立、四月一日から施行された。公立高校生の場合、授業料の負担はなく、また申請手続きもない。一方、私立高校では年額約十二万円から二十四万円を支給されるものの、授業料負担が残ると同時に、かなりの申請手続きが必要。文部科学省では四月五日に都道府県向け説明会を開く予定だが、私立高校関係者の中からは申請を巡って混乱を懸念する声も聞かれる。



 「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案」は、三月三十日、参議院の文教科学委員会で可決、翌三十一日の本会議で可決成立した。賛成は百五十二、反対は七十六だった。
 四月一日には同法の施行令、施行規則も明らかになった。そのうち施行令では、公立高校の授業料が不徴収となる代わりに国が都道府県に交付する金額については、高校(中等教育学校後期課程を含む)の全日制課程は九千九百円、同定時制課程二千七百円、同通信制課程五百二十円、特別支援学校高等部は四百円とした上で、そうした授業料月額に十二(月)、在籍生徒数(十月一日現在)、文部科学大臣と財務大臣が協議して決める率を乗じて算出される。一方、私立高校の生徒等に支給される(学校が代理受領する)就学支援金は、私立高校等が月額九千九百円、国立の高校、同中等教育学校後期課程が九千六百円、国立の特別支援学校高等部が四百円としている。履修する科目の単位数に応じて授業料を設定している高校、中等教育学校後期課程に関しては、全日制(三年)、定時制(三年)、通信制で一単位当たり四千八百十二円となる。高校等卒業に必要な七十四単位が上限となる。
 就学支援金が割り増しされる所得の基準については、保護者等の市町村民税所得割が一万八千九百円未満の場合は一・五倍に加算、保護者等の市町村民税所得割が非課税の場合は二倍に加算する。また所得を判断する対象となる保護者等については、親権を行う者(未成年後見人を含む、児童相談所長その他の省令で定める者を除く)とし、上記の者がいない場合は、受給権者(高校生等本人)の生計を主として維持する者、としている。
 同法の施行規則では、就学支援金の支給対象となる専修学校、各種学校のうち高等学校の課程に類する課程を置くものを定めている。それによると、専修学校の高等課程に加えて、各種学校に関しては、我が国に居住する外国人を専ら対象とするもののうち、高校に対応する外国の学校の課程と同等の課程を有するものとして当該外国の学校教育制度において位置付けられたものであって、文部科学大臣が指定したものなどを挙げている。
 また申請等のための様式・手続きも定めており、高校等就学支援金の受給資格認定申請書では、生徒本人の氏名、生年月日、住所、在学する学校の名称、所在地、学校設置者の名称、在学期間を記入する。また同支援金は授業料に充当され、支給に必要な事務手続きを学校設置者に委任することを了承するとの確認事項も記載されている。この申請書には別紙があり、冒頭、「本制度は、家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生等が安心して勉強に打ち込める社会をつくるため、国の費用により、生徒の授業料に充てる高等学校等就学支援金を支給し、家庭の教育費負担を軽減するものです。社会全体の負担により、生徒の学びを支えることを通じて、将来、わが国社会の担い手として広く活躍されることが期待されています」と記載されている。こうした記載は、国会での同法案審議の段階で多額の税金を投入していることから、議員などから求められていたもので、四月一日、川端文部科学大臣は同省の記者会見の中で、制度がスタートしたことと、高校生等が社会の担い手として広く活躍することが期待されているとの発言を行っている。
 今後、私立高校等にあっては新入生、在校生の申請手続きなどに追われることになる。支援金の割り増しに必要な所得証明書類の提出などを巡っては、混乱を予想する声も少なくなく、三年後の見直しに向け課題となる点が明らかになりそうだ。

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