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記事2010年4月23日 2168号 (2面) 
文科省 スポーツ立国戦略策定へ意見聴取
高体連 小中高一貫の体育プログラム作成要望
スポーツ界もガバナンス等確保を スポーツ仲裁機構

 「スポーツ立国戦略」の策定に向けた文部科学省によるヒアリングが、四月六日から十四日まで三回にわたって、同省内で行われた。トップアスリートやスポーツ関係団体が出席し、スポーツ基本法の制定や各団体への支援などを、鈴木寛文部科学副大臣らに要望した。
 十四日に行われた第四回ヒアリングには、アルペンスキー選手の岡部哲也氏、パラリンピック水泳金メダリストの河合純一氏、ロサンゼルス五輪柔道金メダリストの山下泰裕氏、フィギュアスケートコーチの山田満知子氏、テレビ朝日アナウンサーの宮嶋泰子氏が出席した。
 河合氏は「民間のスポーツクラブの中には障害者の入会を拒否するところもある。行政の指導も必要」と述べ、山下氏は「体を動かすことの喜びを知ることが生涯スポーツにつながる」と学校体育への工夫を求めた。山田氏は「一般との共用リンクでの練習は事故の危険もある」と練習場所の確保に苦心する現状を話した。
 また、第二、三回ヒアリングでは、日本体育協会、日本オリンピック委員会、日本レクリエーション協会、全国体育指導委員連合、日本武道館、日本中学校体育連盟、全国高等学校体育連盟、全国体育系大学学長・学部長会、日本障害者スポーツ協会、日本スポーツ仲裁機構の十団体が意見を述べた。
 このうち、全国高等学校体育連盟は、スポーツ愛好者の育成には、教科体育・保健体育、運動部活動の充実が肝要として、小学校への体育専科教員の配置、小中高一貫の体育プログラムの作成、インターハイ等への財政支援などを要望。小学校を地域のスポーツ振興拠点として整備することも提案した。日本中学校体育連盟は、運動部を積極的に指導できる教員の採用や、各地域の中体連の運営・活動、全国大会開催への支援などを要請した。
 全国体育系大学学長・学部長会も、小学校への体育専科教員の配置を要望。大学での学び直しや資格取得など優秀なスポーツ選手のセカンドキャリアへの支援も求めた。
 日本オリンピック委員会は、スポーツにおける国際競争力の向上に国策として取り組むよう要請。オリンピック選手強化は長期スパンで行われることから、これに合わせた複数年度での補助制度や、コーチ・スタッフが強化に専念できる環境づくりなどを求めた。
 日本スポーツ仲裁機構は、スポーツ界にガバナンス、コンプライアンスを確保する仕組みが必要と指摘。具体的には、監督・コーチ等によるセクハラ・パワハラ等への調査もできるよう、立ち入り調査・摘発の権限を持った自律的な機関をスポーツ界で作り、これを法律が後押しするような仕組み作りを国に対し要請した。

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