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記事2010年2月3日 2160号 (2面) 
私立大学連盟が学長会議で教員養成の6年制化を協議
学校現場で実践積んでから大学院入学が有効

 日本私立大学連盟(会長=白井克彦・早稲田大学総長)は一月十九日、東京・市ヶ谷の私学会館で、平成二十一年度学長会議の第二回全体会議を開いた。テーマは「教員免許制度はどうあるべきか―教員養成六年制を考える―」。加盟大学の学長、副学長、学部長ら約八十人が参加し、大学での教員養成のあり方について意見交換を行った。
 教員養成の六年制化は民主党のマニフェストにも掲げられており、文部科学省は教員の資質向上に向け教員免許制度の抜本的な見直しに着手している。冒頭のあいさつで、白井会長は「私学出身者が多数、教員として現場に出ている。教員の質をどう高めていくか、私学、連盟としても議論したい」と述べた。
 文部科学省初等中等教育局の山下和茂・教職員課長が教職課程の質向上に向けた方策について講演した。
 続くシンポジウムでは、早稲田大学教育総合科学学術院の藤井千春教授、文教大学の大橋ゆか子学長、関東学院大学人間環境学部の小泉秀夫教授がそれぞれプレゼンテーションを行った後、参加者も交えて、質疑応答や意見交換を行った。
 このうち、大橋学長は、教員養成六年制化のモデルとされるフィンランドの教員養成システムを紹介。フィンランドでは、大学は五年制(修士)が一般的で、教職だけが修士を条件としているわけではない。また、教員免許取得者数と教員採用数はほぼ対応するように設定されており、免許を取得するとほぼ教員になれるという。大橋学長は「フィンランドの教員は勤務時間が短く、その分研修や大学院での学習などに時間を使える」と、日本の教員の勤務時間の長さを指摘した。
 また、教員養成の六年制化について、藤井教授は「学部からすぐ大学院に入ることでどれだけ伸びるかは疑問。学校現場で教員としての実践を積んだ後に大学院などで研修できるシステムのほうが良いのではないか」、小泉教授も「実践を積んでから新たな学習をするほうが効果は高いと思う」と述べた。
 教員免許制度の硬直化を指摘する意見や、教員養成には全学的に取り組む必要があるという意見もあった。

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