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記事2010年11月23日 2188号 (1面) 
中教審キャリア教育・職業教育特別部会がヒアリング
大学団体「新たな枠組み」の必要性疑問視
全専各連「教育体系の再構築に」と早急な検討要望
 中央教育審議会のキャリア教育・職業教育特別部会(部会長=田村哲夫・渋谷教育学園理事長)は十一月十六日、文部科学省内で、現在作成中の答申素案について、日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会、全国専修学校各種学校総連合会、日本教職員組合の四団体からヒアリングを行った。焦点は、答申素案が提案する「職業実践的な教育に特化した枠組み(新たな枠組み)」。
 日本私立大学団体連合会は、答申素案が掲げる人材育成ニーズや人材像については、「新たな枠組み」を設けなくても、既存の高等教育機関の再整理・体系化を図ることで対応可能であるとし、「新たな枠組み」について、社会のニーズや、人材需要、労働環境の将来デザインが示されていないと指摘した。意見陳述を行った白井克彦会長(前早稲田大学総長)は「キャリア教育・職業教育は大学・短大でまさにやっている。新たな枠組みを作らなくても、現行制度の見直しなどで対応できる」と「新たな枠組み」の必要性に疑問を呈した。
 日本私立短期大学協会は、キャリアガイダンスが大学・短大に義務付けられた現時点で、「新たな枠組み」の設定を提言する意味があるのかと指摘。ニーズが不明確であり、学校種として位置付けるとすれば既存の学校種の教育体系との整合性等で重要な問題が発生する、と必要性を否定した。関根秀和副会長(大阪女学院短期大学理事長・学長)は「率直に言って屋上屋を重ねる側面は否定しきれない」と述べた。
 一方、「新たな枠組み」の創設を積極的に支持してきた全国専修学校各種学校総連合会は、「新たな枠組み」の活用は、単線型のわが国の教育体系の再構築・再整理につながるとし、制度化によって職業教育システムを構築・充実していく素案の考え方に対して支持を表明した。中村徹副会長(静岡福祉医療専門学校校長)は「是非とも早急な検討を強く要望する」と述べた。そのほか、日本私立中学高等学校連合会や国立大学協会など十四団体が書面で意見を提出したほか、大学分科会での意見も報告された。
 同特別部会は、これらの意見を集約した上で、今月二十九日にも最終の答申案をまとめる予定。
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