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記事2010年11月23日 2188号 (1面) 
文科省からヒアリング 大学予算や35人学級で攻防
元気な日本復活特別枠・評価会議
 平成二十三年度予算の「元気な日本復活特別枠」について、要望事項の優先順位づけを行う政府の評価会議(議長=玄葉光一郎評価会議担当大臣)は十一月十、十二、十三日の三日間、各府省庁から要望に関するヒアリングを行った。文部科学省については、十日にヒアリングが行われ、鈴木寛副大臣らが説明に立った。特別枠の一兆円超に対し、各府省庁が要望した計百八十九事業の総額は約二・九兆円に上る。文科省の要望事項は十項目で、総額八千六百二十八億円。要望総額の三割弱を占めており、評価会議の委員からは厳しい意見が相次いだ。
 平野達男評価会議担当副大臣は「文科省は継続事業をいったん切って、再度要求した事業が多く、要望枠の趣旨になじまない。査定は大変厳しくなる」と指摘。「三十五人学級の実現」(要望額二千二百四十七億円)については「いったん人件費を切って要望枠で復活するのはなじまない。(教職員の)増員分を認めるのは簡単には飲めない」と述べた。また、国立大学法人運営費交付金、私学助成など「大学の機能強化」(同千二百億円)や「総合的な学び支援」(同千三百三十一億円)を例に挙げ「既存の予算を削減して単純に三倍要望している。この手法は三倍枠の趣旨からずれており、会議としてはメスを入れざるを得ない」と批判した。
 櫻井充財務副大臣は「ミニ東大を目指すような国立大学のあり方が適切なのか。まずは大学の機能分類を行って、研究予算の集中と選択を行うことによって初めて効果が出るのではないか。私大も含めて、今後、文科省として、大学はどうあるべきなのかをきちんと出してほしい」と大学改革への取り組みを促した。また、三十五人学級については「心の病で休職している先生が五千人いる」と指摘し「労働条件を含めた改革が優先すべきで、単純に数を増やすということにはならないのではないか」とした。
 これに対して、鈴木副大臣は、三十五人学級について「三十年ぶりの大政策転換であり、少人数学級の実現は、民主党の重要なマニフェストの一つだ」と強調した。「単純に三倍要望しただけだ」との指摘に対しては「大学予算は、七年間切りに切り続けたことで大変厳しい状況になっている。決して単純な要望ではない。もっと前向きな将来に向けた大学改革の議論をする環境を確保してほしい」と反論した。
 「評価会議」で確定した優先順位付けは、予算編成に関する閣僚委員会に提出され、その後、菅総理が配分額を決定する。
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