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記事2010年10月3日 2183号 (2面) 
厚労省が必要医師数の実態公表
鈴木文科副大臣は今後の医師養成政策議論を示唆
 全国の医療機関が、現在の医師数に加えてさらに必要と考えている医師数が約二万四千人に上ることが、厚生労働省が九月二十九日に発表した「病院等における必要医師数実態調査」の結果から浮き彫りになった。調査結果を踏まえて、鈴木寛文部科学副大臣は、医学部定員見直しを含めた今後の医師養成政策について議論する枠組みの立ち上げを示唆した。
 厚労省が、全国の医師数、必要医師数についての実態を調査したのは初めて。全国の医療機関で実際に働く現員医師数が計約十六万七千人なのに対して、医療機関がさらに必要と考えている医師数は計約二万四千人。現員医師数と必要医師数の合計数は、現員医師数の一・一四倍で、深刻な医師不足の実態がうかがえる。
 現員医師数に対する、必要医師数と現員医師数の合計数の倍率は地方で高い傾向がみられる。
 倍率が最も高かったのは、岩手の一・四倍で、次いで青森一・三二倍、山梨一・二九倍。最も低いのは東京の一・〇八倍、次いで大阪の一・〇九倍、神奈川・埼玉の一・一〇倍で、医師の地域偏在が反映される結果となっている。
 医療機関が考える医師不足の背景としては「求人している診療科医師の絶対数が県内(地域内)で少ない」「大学の医師派遣機能が低下している」「勤務条件と医師の希望との不一致」などが挙げられた。
 この調査結果について、鈴木文部科学副大臣は、九月三十日の記者会見で、平成二十四年度以降の医学部定員見直しを含めた議論を始める必要性を指摘した。
 鈴木副大臣は、医師と接する時間を増やしてほしいという患者側のニーズや、医師のワークライフバランス、大都市圏およびその周辺での高齢化の加速などの要因を挙げ、こうした実態を総合的に調査・分析し、将来の医師需要数や医師養成政策を含めたグランドデザインを議論する必要があると指摘。こうした議論をするための枠組みを立ち上げることを示唆した。
 「必要医師数実態調査」は今年六月一日現在を調査期日に、全国の病院・分娩取り扱い診療所約一万施設を対象に実施。八千六百九十八施設から回答を得た。回収率は八四・八%。
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