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記事2010年10月3日 2183号 (1面) 
大阪府 11月にも私立小・中学助成全廃等の是非で結論
高校の就学支援充実
一方で私立学校に重い負担
 私立小学校、私立中学校に対する経常費補助金を大幅カットあるいは全廃して、私立高校生に対する就学支援を充実(国の就学支援金に上乗せ)することを目指している大阪府の橋下徹知事。その大阪府で九月二十二日に九月定例府議会が開会した。会期は十二月十五日まで。
 現在、橋下知事が目指しているのは、中学三年生が授業料のことを気にせず進学先として自由に公立高校、私立高校、高等専修学校を選択できるようにしたいというもの。公私の違いに関係なく自由に高校を選択できる環境は良いことではあるが、その自由な学校選択実現に私立学校が大きな犠牲を払わなくてはいけない点が問題なのだ。
 大阪府では平成二十二年度から年収が三百五十万円未満の世帯に関しては授業料が年間五十五万円までの私立高校等なら授業料が無償となる支援(国の就学支援金を含め)を始めたが、その対象者を今後、より年収の高い層にまで広げていきたいと考えている。年収八百万円までの世帯に広げれば全体の七〜八割をカバーできるというが、授業料が年間五十五万円を超えている私立高校では、府の就学支援措置を受けるためには授業料超過分については学校側が負担することになっており、私立高校にとっては深刻な問題となっているのだ。授業料無償化の恩恵を受ける対象者が広がれば広がるほど、私立高校の持ち出し分は大きくなり、経営に深刻なダメージを与える結果となる。ましてそうした高校就学支援措置の拡大のため、私立小学校、私立中学校の経常費補助金の全廃・縮減が実施されるとなれば、小・中・高校一貫校では学校法人全体で大きな影響を受けることになる。既に小・中学校に関しては他県に例を見ない削減措置が取られている。
 また大阪府が結果として私立高校の授業料額の上限を設けることは、自由に特色ある教育を創出・展開し、それに見合った授業料を設定する私立学校の独自性を損ないかねない。授業料五十五万円という基準は大阪府内の私立高校の平均額。そのため半数の高校は授業料が五十五万円以下で、付属の小・中学校がない高校では授業料無償化の対象が広がることのデメリットはない。九月十三日には、橋下知事と私学関係者、府議会議員が出席して高校の授業料支援の拡大に関する意見交換会が開かれ、橋下知事からは、これまで以上に私立学校に対する理解を感じさせる発言もあったようだが、大阪府内の私立学校は依然、難しい局面に立たされている。


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