こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2009年9月3日号二ュース >> VIEW

記事2009年9月3日 2146号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向 (3)
初中分科会 教育課程部会 児童生徒の学習評価WG
中高連は高等学校への観点別評価導入に反対
私学含め教育団体から意見聴取

 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の「児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ」(座長=無藤隆・白梅学園大学教授)は、八月二十五日、文部科学省内で第五回会合を開いた。この日は、新教育課程への移行に伴う児童生徒の学習評価の在り方に関して教育関係二十三団体に提出を要請していた「意見」の概要が報告された。このうち私学団体からは日本私立小学校連合会、日本私立中学高等学校連合会などが意見を提出した。
 このうち日私小連は、教員や学校間によるバラつきなどの問題が指摘されている達成度評価(いわゆる絶対評価)については現況をもう少し注意深く見守り、育てていく必要性を強調。また指導要録に関しては、@従来型配列A生きる力を強調した行動の記録を第一に、最後に各教科の学習の記録を配列する組み換え型B電子記録用フォーマット(ある程度評定しやすい具体的観点を提示し、FP判定を導入)の三種類から選択できるようにすること、指導要録の電子化などを求めた。
 日私中高連は、絶対評価への移行のために導入した観点別評価はあまりの煩雑さのために有効に機能していない、としたうえで、学習評価に関しては学校ごとの自主的な運用により評価結果を児童生徒の学習改善や教員の指導にフィードバックするための学習過程を重視する形成的評価を充実させること、高校への観点別評価導入には反対との考えを表明した。
 この日は、提出された意見や教育課程部会での議論などを参考に文部科学省が作成した「論点案」が提示された。
 論点案には、「関心・意欲・態度」の評価規準・評価方法等についての改善、高校に関する改善、指導要録の電子化などが挙げられており、論点案に沿って検討が始められた。指導要録については同省の参考例に縛られすぎている点を指摘する委員がいたが、保護者から学習評価に関して説明を求められる中ではその方が安心との声も聞かれた。
 このほか、評価結果が入学者選抜に活用されるだけに評価の同一が必要だとする意見、学校が組織として評価を受けとめることが必ずしも十分ではない、きめ細かな評価に異論はないが、教員がこれ以上評価に時間をとられると別にデメリットが増える、といった意見が聞かれた。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞