こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2009年8月3日号二ュース >> VIEW

記事2009年8月3日 2144号 (1面) 
私学助成の「1%減」の撤廃を
全私学連合が22年度予算要望提出

私大助成 六千億円増必要
私立高校等 公立に準じた施設設備補助要請


 大学から幼稚園までの五つの私立学校団体で構成する全私学連合(代表=白井克彦・早稲田大学総長)は七月二十二日、文部科学省に塩谷立文部科学大臣らを訪ね、平成二十二年度私立学校関係政府予算と二十二年度私立学校関係税制改正に関する要望を手渡した。同省の二十二年度概算要求での私立学校関係予算の拡充等を求め提出したもので、「骨太の方針二〇〇六」以来続いている私学助成の対前年度比一%削減の撤廃や公私立学校への公費支出の格差是正等を要望した。


 全私学連合を構成するのは、日本私立大学団体連合会(白井克彦会長)、日本私立短期大学協会(会長=佐藤弘毅・目白大学短期大学部理事長・学長)、日本私立中学高等学校連合会(会長=吉田晋・富士見丘中学高校理事長・校長)、日本私立小学校連合会(会長=平野吉三・啓明学園理事長)、全日本私立幼稚園連合会(会長=吉田敬岳・自由ヶ丘幼稚園長)の五団体。学校種別に二十二年度予算に向けた要望内容をみると――。
 大学関係では、類のないスピードで少子高齢化が進展する中で、活力にあふれた安心社会を実現するためには、「人生前半の社会保障」である大学教育に対する国民の経済的負担軽減のための公財政支出が急務だとし、まず達成されるべきは高等教育に対する公的投資の国際水準(GDP比一%)への拡充としている。具体的には学生一人当たりの教育に必要な経費の国費負担を国立大学と同程度とするべく、私立大学等経常費補助金を現在より五千七百八十二億円増額し九千億円とすること、また私立大学の学生の学費負担は国立の約二倍、授業料減免事業による国の支援は国立大学の約九分の一であり、その格差は少なくとも約二十倍あるとしたうえで、日本学生支援機構の奨学金事業の抜本的改善と充実が必要と強調している。具体的には大学院生に対して国立大学の授業料標準額との差額分を奨学金として支給する給付型奨学金の創設、学納金に応じ貸与金額を細分化した無利子奨学金などを求めている。ほかに大学間の戦略的連携や留学生受け入れなどへの支援の拡充を要請している。
 私立高等学校等に関しては、保護者の教育費の格差は高校入学時、公私間で五・七倍もあり、授業料の滞納が社会問題化するなど私立学校を取り巻く環境が厳しさを増していることから、私立高等学校等の経常的経費の二分の一助成実現を求めている。また経済不況に伴う就学困難な生徒への支援策として平成二十・二十一年度補正予算で措置された私立高等学校授業料等軽減補助事業への支援については対象学校種の拡大や現行補助率(二分の一)の引き上げを含めた国による恒久的な補助制度創設を要望している。このほか施設・設備関係では学校施設の耐震化、バリアフリー化、安全機能強化、低炭素社会実現に向けたエコキャンパス作りへの支援などを求めており、特に太陽光パネル設置を中心としたエコキャンパス推進やデジタルテレビ、電子黒板、校務用コンピュータの整備では、公立学校に準じた整備が可能となるよう、補助金の拡充・強化を要請している。
 幼稚園に関しては幼児教育の無償化の方向性を歓迎したうえで、私立高等学校等経常費助成費補助金(幼稚園分)の拡充、幼稚園就園奨励費補助金の補助単価引き上げ、所得制限緩和の検討など現行制度の拡充等を要望している。


税制改正要望
教育費の所得控除制度創設を
消費税収入の教育への充当も


 一方、平成二十二年度税制改正要望は、@教育費にかかる経済的負担軽減のための措置の創設A学校法人に対する寄附促進のための措置の拡大B消費税に対する優遇措置の三つを最重点要望に掲げている。うち@は、学生・生徒等の教育費について所要の教育費(学費)を負担者の所得にかかわらず一定額を所得から控除する制度の創設、また第二子は第一子の二倍、第三子は第二子の二倍の扶養控除とするなど、特に教育費負担の重い高校生、大学生への重点的支援、社会人学生の教育費にかかる所得控除制度や教育費(学費)の相続税及び贈与税にかかる税額控除制度の創設を要望。Aは、個人が学校法人に寄付する場合の所得控除限度額の上限を現行の四〇%から米国並みの五〇%に拡大、所得控除限度額の五年間繰越控除制度の創設、控除適用下限額(五千円)の撤廃、所得控除手続きの大幅な改善、寄付金控除対象となる寄付金の拡大を求めている。Bは、消費税の一部を教育目的に使用するなどの優遇措置を求めている。このほか従来からの資産運用収益に対する非課税措置の維持等も要望している。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞