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記事2009年8月13日 2145号 (3面)
大学進学率に2倍の開き
国公立大ではばらつき少ない
親の年収が高くなるのに比例して大学への進学率も上昇する―。 東京大学の大学経営・政策研究センターが実施した高校生の進路調査結果から、親の年収が子供の進学率に影響を与えている状況が浮き彫りとなった。 調査は二〇〇五年から二〇〇六年にかけて、層化二段無作為抽出法で選んだ全国四千人の高校三年生(男女それぞれ二千人、二〇〇六年三月卒業)とその保護者を対象に実施。うち回答の得られた三千三百二十一人について両親年収別の進学率を算出した。 四年制大学への進学率は、両親の年収が増えるにつれて上昇。両親年収が四百万円以下世帯での進学率が三一・四%に対し、一千万円超では六二・四%に達している。文部科学省の学校基本調査によると、二〇〇六年三月の高校卒業生の大学進学率(高専、短大を含む)は四九・三%。 設置形態別で見ると、国公立大学への進学率は、親の年収によるばらつきが少ない。これに対して、私立大学への進学率は、年収二百万円以下で一七・六%、千二百万円超で五〇・五%と大きな差が見られる。 男女差、地域差による違いも出ている。地方女子の四年制大学進学率は、一千万円超の六二・七%(都市部男子六一・七%)に対して、四百万円以下では二五・四%(同四六・五%)に落ち込む。地方女子の場合、都市部男子と比較して、両親の年収が進学に与える影響がより大きいことがうかがえる。また「経済的ゆとりがあれば子供にさせてあげたいこと」という質問(複数回答)に対しては、「現在の希望から変更なし」が全世帯を通じて多いものの、年収が少ない世帯ほど「短大・専門学校より大学進学」「就職より進学」という回答が増える。 こうした結果について東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策コースの両角亜希子講師は「大学全入時代というと、誰でも行けるように聞こえるが、進学にはお金がかかる。親の年収が子供の進路選択に影響していることがデータ上もきれいに出ている」と分析している。 |
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