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記事2009年7月3日 2141号 (1面) 
私学助成依然マイナス1%枠
平成22年度概算要求基準決まる
歳出抑制基調後退
私学助成には4年連続削減枠

 政府は七月一日の閣議で「平成二十二年度一般歳出の概算要求基準」を了解した。各省庁は八月末までに来年度予算概算要求を財務省に提出するが、その予算要求の基準となるもの。無駄の排除など歳出改革を継続しつつも社会保障費については自然増(約一兆九百億円)を認めるなど歳出抑制基調が弱まったものの、私立学校振興費については引き続き前年度比一%削減枠が継続される。


 平成二十二年度概算要求基準の基本方針については、歳出改革を継続しつつも、安心・安全を確保するために社会保障の必要な修復をするなど安心と活力の両立を目指して、現在、かつてないほどに冷え込んでいる経済情勢や雇用環境の悪化などによる社会不安の増大などに必要な対応等を行う。具体的には、年金、医療といった社会保障費については、一兆九百億円の自然増を認める。その際、無理のない範囲で節約に努め、節約分は再び社会保障に充当する。
 加えて特別枠「経済危機対応等特別措置」(三千五百億円)を新設する。
 特別措置の規模については年末の経済情勢を踏まえて決定する。財源としては、一兆円の経済緊急対応予備費から捻出する。この経済緊急対応等特別措置は、六月二十三日に閣議決定された政府の「経済財政改革の基本方針二〇〇九〜安心・活力・責任」(いわゆる「骨太の方針二〇〇九」)に盛り込まれた「当面の最優先課題」や「成長力の強化」「安心社会の実現」等に掲げられた施策のうち、緊急性や政策効果が特に高いものに必要な経費の加算を認めるもの。
 骨太の方針二〇〇九では、具体的には、雇用維持のための緊急取り組み、若者層に対する職業能力向上と機会拡大支援、低炭素・環境共生型社会に向け民間投資を引き出すための取り組みを多年度にわたり強化、少子化対策や子育て支援等、太陽光発電・省エネ世界一プラン、エコカー世界最速普及、介護機能強化プラン、スクールニューディール構想推進、教育費の軽減策、武道教育の推進などが挙げられている。
 そのほか科学技術振興費は前年度と同額、国立大学法人運営費は私学助成と同様、前年度比一%減が要望基礎額となっている。公共事業関係費は前年度比三%の減額。
 義務的経費、人件費は前年度と同額が要望基礎額だが、総人件費改革等による削減・合理化も進める。地方向け国庫補助負担金に関しては、引き続き必要な見直しを行い、抑制していく方針。
 公共事業関係費や国立大学法人、私立学校振興費、科学技術振興費、防衛関係費などについては、要望基礎額の二五%増しまで予算要求できる、としている。
 来年度予算について概算要求基準が決まったことで、私学関係者にとって今後の焦点は、文部科学省が八月末に財務省に提出する概算要求での私学関係予算ということになる。「骨太の方針二〇〇六」で始まった私学助成の前年度比一%削減措置は、平成十九年度、二十年度、二十一年度と三年間続いている。
 私学助成の削減など財政再建に向けた歳出削減路線は五年計画だったが、緊急経済対策が進められる中で歳出抑制基調は弱まっており、また授業料滞納者の増加や所得格差が教育格差を招いていることが社会問題化している中で、私学助成の削減路線の見直しが求められている―といえる。

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