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記事2009年7月23日 2143号 (2面) 
新校長インタビュー (187) ―― 三輪田学園中学校・高等学校
校長 吉田 珠美氏
感性豊かな人間育成
進路指導の基本は生き方教育



 四月に三輪田学園中学・高等学校(東京都千代田区)の校長に就任した吉田珠美校長が「日本史」の教員の道へ進んだのは、同校の「日本史」の教師の影響を受けたからだ。「『過去を学ぶことは、未来を学ぶこと』という日本史の先生の一言で決めました。これを生徒たちにどのように伝えていこうかと思った」と語る。
 「誠のほかに道なし」の校訓は、誠実さを強調している。「昔から生徒も教員も誠実さを大切にしています」と、吉田校長の校訓への思いは強い。創立者の三輪田眞佐子氏は「徳育・知育・体育・美育」を建学の理念に掲げ、徳才兼備の女性の育成を目指した。
 「建学の精神でいう『徳』とは人間性のことで、感性豊かな人間を育てるということです。友達との関係でいえば、共感能力の高い人間を育てるということです」と吉田校長は述べる。
 昨年度から高校は新カリキュラムに変えた。一年で一般教養的必修科目を中心に広く学ぶ。二年から各自の進路に合わせた選択科目を多く取り入れるようにした。「これは一人一人の生徒がより高い理想を持ち、自己実現の努力をよりしやすくするため」(吉田校長)だ。
 進路指導は「生き方教育」を基本方針としている。女性として、社会の中で自立した生き方を六年間の学園生活の中で自ら選択していってほしいという願いがあるからだ。中学から「生き方教育」は始まっているが、「大学進学は自己実現のための一つのステップ」(吉田校長)という基本的認識に立っている。最近、薬学や看護といった医療系の進学希望者が増えているのも、「生き方教育」の影響が大きいという。
 力を注いでいるのが、中学一、三年で一時間ずつ設けられた「読書の時間」だ。一年では、国語の課題図書の中から六冊以上読み、感想文を提出。全教員の推薦図書をまとめた『読書のすすめ』も配布し、読書を奨励している。中三公民では五ブロックの課題図書の各一冊を読み、そこからテーマを絞って卒業論文を書く。「このような知識を活用する学習を増やしていきたい」と期待をかけている。また、社会科の教員が自ら作成したテキストを使用している高校一年の「総合社会」では、地理的内容に現代社会を加えたユニークな授業も行われている。
 「三輪田教育」はじっくりと足が地に着いた教育を行っている。

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