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記事2009年7月13日 2142号 (1面) 
中高一貫教育見直し
学校段階間の連携等検討する作業部会設置
文部科学省、小中は連携推進
児童生徒の修学支援検討会議も設置

 中央教育審議会の初等中等教育分科会(分科会長=梶田叡一・兵庫教育大学長)は、七月六日、文部科学省内で第六十六回会合を開き、「学校段階間の連携・接続等に関する作業部会」と「児童生徒の修学支援に関する検討会議」の設置を決めた。学校段階間の連携・接続等では、平成十一年度に創設された中高一貫教育制度の下で百五十八校(平成二十年度現在)に拡大した公立中高一貫校の一部が受験エリート校化するなどの問題が見られることから、制度創設十年を節目に問題点の検証や改善策の検討を行う。一方、修学支援に関しては、塩谷立・文部科学大臣が主宰した「教育安心社会の実現に関する懇談会」が七月三日に教育費の在り方に関する報告をまとめたことから、初等中等教育分野での具体的修学支援制度の在り方などを検討する。


 学校段階間の連携・接続等では、@幼稚園(および保育所、認定こども園)と小学校の連携A小学校と中学校の連携B中学校と高校の連携C優れた才能や個性を伸ばす学習機会が主な検討事項。作業部会の人選は梶田分科会長と文部科学省が行う。
 このうち中高一貫教育に関しては、政府の規制改革会議が昨年十二月の第三次答申の中で、制度の趣旨を逸脱していると思われる学校が散見されるため制度の趣旨について改めて周知すること、公立中高一貫教育校の実態を把握し、問題点等の点検・検証や改善方策の検討を行い、本来の在り方に則して運営するよう抜本的な改善を求めた。その中で、結論として学力を問うことになる適性検査は行わない、入学者選抜では抽選を必須として、その倍率を三倍以内とする、私立学校との協議の場を保障する、公立中高一貫校が私立と同等の授業料等を徴収した場合は競争条件が同等なので、これら事項の適用はしない、などを指摘。
 それを受けて今年三月に閣議決定された「規制改革推進三か年計画」では中高一貫教育の成果や課題の実態把握、中教審において各界の意見を聴取した上で、現段階での検証を行い、改善方策を検討する、と決めており、検討開始は今年度中、としている。
 公立中等教育学校については、学校教育法施行規則で学力検査は行わないと定められているが、「適性検査」との名称で、実質的な学力検査が行われていることが問題視されてきた。
 小学校と中学校に関しては、設置する市町村が同じこともあり、公立学校を中心に連携が広がっており、研究開発学校、教育課程特例校での連携教育の研究、小・中学校の垣根を越えて四・三・二年、五・四年で区切った教育、小学校からの教科担任制導入、小中一体型校地・校舎を活用した取り組みなどが見られる。就学人口の減少が続く中、義務教育学校の配置の適正化などを見据えて、小中連携は今後さらに拡大する見通しだ。
   ◇
 教育費の問題に関しては幼稚園に関する検討が先行していることから、同省でも検討を急ぐ方針で、今月中に初会合を開き、可能なものについては来年度予算として財政当局に要求する考え。検討期間は一年間。
 低所得者層の家庭への就学援助は平成十七年度以降、国庫補助が廃止され、地方自治体の単独事業となったため、各市町村の財政力によって支給額や支給対象者に格差が生じており、経済不況の中で支給の充実を求める声が高まっている。
 また高校に関しては、低所得者層の家庭の生徒について家庭の経済状況に左右されず安心して学業に専念できる新たな修学支援方策の検討が課題となっている。

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