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記事2009年7月13日 2142号 (2面) 
観光教育に関する学長・学部長と観光庁との懇談会
観光分野の人材拡充へ、行政、大学、業界団体が連携

 観光庁は、観光分野の人材の教育体制の拡充等の検討を進めるため、「観光教育に関する学長・学部長等と観光庁との懇談会」の初会合を、六月十六日、三田共用会議所で開催した。観光庁は昨年十月に国土交通省に新設されたもの。この日の議事は、@観光行政に関する観光庁からの説明、A観光関係人材対策事業(マネジメント研修事業)の募集について、B大学の取り組みについての説明、C観光関係団体からの意見、D海外の観光ホスピタリティ系大学の教育内容について等。
 出席者は、観光教育に取り組んでいる四十四大学、観光関連業界団体、観光庁、経済産業省、文部科学省、原忠之・セントフロリダ大学准教授。
 @観光行政に関しては、平成十八年十二月に観光立国推進基本法が成立、十九年六月に観光立国推進基本計画を策定、二十年十月に観光庁が設置された。観光立国推進基本計画では、平成二十二年までに訪日外国人旅行者を一千万人に、日本人の海外旅行者を二千万人に、国内観光旅行消費額を三十兆円にすることを目標としている。ちなみに平成二十年の訪日外国人旅行者は約八百三十五万人。大学における観光学部・学科の設置状況は二十一年度には三十九大学四十三学科等で、年々増加している。また、観光立国閣僚会議の下の観光立国推進戦略会議は訪日外国人二千万人を目指すとの中間取りまとめを報告している。
 この日開催された「観光教育を行う高等教育機関の学長・学部長等と観光庁との懇談会」では、環境庁の「観光関係人材育成のための産学官連携検討会議」でこのほど、経営マネジメント人材を育成するためのカリキュラムおよびインターンシップに関する中間取りまとめを行ったことから、そのカリキュラムモデル案が提示され、科目を一部でも取り入れれば補助されるとしている。また、インターンシップモデル事業として、十五大学の四十三人の学生が十六の企業で今年七月からインターンシップを行うことも説明された。
 A観光関係人材対策事業(マネジメント研修事業)の募集については、観光庁と日本交通公社が今年度、補正予算を活用し、カリキュラムモデルを使って「観光経営マネジメント研修」を実践するもの。募集対象は観光系大学と地域。募集は六月から七月中旬を予定。詳細はホームページで案内するとしている。
 B大学の取り組み紹介では、出席した各大学からそれぞれの観光関連学部学科について説明が行われ、例えば長崎国際大学ではゼミ(専門演習)中心の教育を行い国際インターンシップも実施しているなどと報告された。続いて、C日本ツーリズム産業団体連合会など観光関係団体五団体からの意見が述べられ、その中で、地域は観光をテコに活性化していく、地域に愛情を持った人が必要だ、観光業界は変化に対応できる創造力ある人材が欲しいなどの意見が挙がったほか、インターンシップは最低六カ月は必要だとの意見もあった。
 最後に、「海外の観光ホスピタリティ系大学の教育内容について」、セントフロリダ大学ローゼン・ホスピタリティ経営学部の原忠之・暫定副学部長・准教授が講演し、観光・ホスピタリティ系の研究にはアメリカでの観光ホスピタリティ研究の歴史的発展の俯瞰(ふかん)が参考になるだろうなどと話した。
 同懇談会の開催は今後、年一回程度とし、運営は各大学の持ち回りを予定している。

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