こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2009年6月3日号二ュース >> VIEW

記事2009年6月3日 2138号 (2面) 
第三者評価のガイドライン策定へ 協力者会議が発足
7月にも「試案」まとめる
大学の認証評価との違いなど検討

 文部科学省の「学校の第三者評価のガイドラインの策定等に関する調査研究協力者会議」(座長=天笠茂・千葉大学教育学部教授)は五月二十二日、同省内で第一回会合を開き、第三者評価のガイドライン作りに向けた審議を開始した。審議は始まったばかりだが、同省では七月にも「試案」をまとめ、九月から十二月にかけ試案に沿って百六十五校で実地検証を行い、来年三月にはガイドラインを決定したいとしている。私立学校からは實吉幹夫・東京女子学園中学高校理事長・校長が委員として参加している。
 今回の協力者会議では、検討課題案として、@第三者評価の意義を、評価対象の学校とは直接かかわりのない専門家等が、自己評価や学校関係者評価の結果等も活用しつつ、学校運営全般について専門的・客観的立場から評価を行うもの、とすることでいいのかA大学で行われている認証評価との相違点、共通点は何かB実施主体の在り方C学校種や設置者別、高校の学科別の違いに考慮する必要はないかD評価員の資質E評価結果のとりまとめ方(診断型か提言型か評定の要否)などを挙げている。課題は多く、あと数回の会合でまとめるのは難しいといえる。小・中学校等の第三者評価に関しては、平成十八年度から三年間をかけ試行事業、調査研究事業が行われてきている。
 初会合では、委員から検討にあたってコスト面をどう考えたらいいのかとの質問が文部科学省に出されたが、同省は「コストは考えずに」と回答。しかし第三者評価には評価員も大量に必要、適切な人を集めるのはかなり困難で、限定的に行わざるをえない、評価結果を改善につなげるためには予算措置が必要、学校裁量予算の根拠になるものにすべきだ、など学校関係者の改善へ意欲を高める観点からも予算との関連を指摘する意見が複数委員から聞かれた。
 また「学校が自前で取り組めることは限られている。学校設置者(教育委員会)ヒアリングまで考えれば第三者評価は意味がある」との意見も聞かれた。このほか「第三者評価や学校関係者評価のベースである自己評価が確たるものになっていない」と問題点を指摘する意見も聞かれた。
 實吉委員は、私立学校は常に第三者の評価に晒されていること、また学校法人の場合、第三者の評議員による評価が行われていることなど公立学校とは異なる点などを説明し、理解を求めた。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞