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記事2009年6月23日 2140号 (2面) 
中教審の審議動向
質保証システム部会
分野別認証評価、産業界から実施求める声
一方、研究・教育に支障との意見も

 中央教育審議会・大学分科会の質保証システム部会(部会長=黒田壽二・金沢工業大学総長)は六月十六日、文部科学省内で第五回会議を開き、認証評価制度の改善策などについて審議した。
 同部会は、設置基準や認証評価制度など公的質保証システムの改善策を中心に議論を進めているが、来月中を目途にこれまでに出た論点を整理し審議経過としてまとめる予定。
 この日の会議では、前大学評価・学位授与機構長の木村孟委員から、認証評価制度についてさらに議論を深めるべき論点が示された。木村委員は、内容や方法が大学ごとに異なる自己点検・評価について認証評価機関が一定の指針を示すことや、特定分野を対象に分野別評価を試行的に導入することなどを提案した。
 分野別評価については「産業界などステークホルダーにとっては一番大事。コストがかかるとしてもやる必要がある」との意見が出たが、認証評価団体の関係者からは、認証評価は、評価者の資質に頼るところが大きいことから「評価機関は今でも評価者を集めるのに苦労している」「今のピア・レビューでコストを何倍かかけてやるとすると、研究・教育に著しい障害が生じる危険がある」など人的限界を指摘する意見が出た。
 これらの意見を受け「アメリカなどと違い、今は評価者になっても何らステータスがない」「国がお金を出して評価者訓練をやるべきでは」「自己点検・評価を支援する大学職員の育成も必要。専門職としての育成を国も支援すべき」などピア・レビューを基本としつつ、評価者の育成に取り組むべきという意見が多く出た。
 認証評価機関が存在しない専門職大学院に対する特例措置については「そろそろ外すべきだ」「決断する時期に来ている」など、特例措置を解除する方向で意見が出た。
 また、二〇〇三年に準則化された設置基準については、短期大学関係者から「現在の設置基準では短大のアイデンティティーが阻害されている。短大独自の人材育成に合った設置基準となるよう抜本的な見直しを行ってほしい」と意見が出たほか、設置基準にいう「適正」などの中身があいまいで、認証評価を行う際の基準としては使いにくい、と指摘する意見も出た。

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