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記事2009年6月23日 2140号 (1面) 
中教審大学分科会が第一次報告
大学教育の構造転換、質保証システムの構築等提言

 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=安西祐一郎・慶應義塾学事顧問)は六月十五日、中長期的な大学教育の在り方に関する第一次報告をまとめた。
 同分科会は昨年九月、大学教育について文部科学大臣から諮問を受け、現在も各部会・ワーキンググループなどで審議を続けている。今回の報告は、現時点での審議経過をまとめたもので、大学教育の構造転換の必要性を前面に出し、そのために必要な質保証システムの構築や量的規模の見直しなどの検討課題を示している。
 報告では、基本的な問題認識として、大学教育の構造転換の必要性を強調。労働環境、社会状況の変化を見据えるならば、主に十八歳―二十代前半の若者を対象としている現在の大学から、年齢を問わず社会人など多様なニーズを持つ者を対象とする教育機関に変わり、生涯学習社会の推進に大きな役割を果たすことが強く求められる、としている。
 構造転換に向けた施策を進める上で基本となる考え方として、@質保証システムの構築と、量的規模のあり方の検討Aこの二点を検討するに当たり大学の機能別分化を前提にすることB大学教育への公財政措置の確保―の三点を示している。
 質保証システムについては、設置基準が二〇〇三年に準則化されたことで定性的・抽象的な基準となっている部分を具体化・明確化することや、設置認可審査・認証評価との相互関係の整理などを検討課題として挙げている。大学の収容定員など量的規模の検討については、大学・短期大学への進学率が五割を超える一方で、私立大学の定員充足率が低下傾向にあることなどを指摘。複数大学による教育課程の共同実施や入学定員の調整、不人気学部の募集停止など、大学の自主的な教育研究組織や定員の見直しに対して、国が支援策を整備することを求めている。また、定員割れしている学部等の設置認可の厳格化や定員超過の取り扱いの厳格化なども検討課題として挙げている。

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