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記事2009年6月13日 2139号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向(3)
質保証システム部会
認定評価制度の改善へ論点討議
評価結果へのインセンティブを

 中央教育審議会大学分科会の質保証システム部会(部会長=黒田壽二・金沢工業大学総長)は六月三日、文部科学省内で第四回会議を開き、認証評価制度の改善に向けての論点を討議した。
 神戸大学大学教育推進機構教授の川嶋太津夫委員が「高等教育の『質』保証について」と題した報告を行った。川嶋委員は、「質」とは何かがはっきりしないまま議論が進んでいるとし、保証すべき「質」とは、学生の学習成果、すなわち授与する学位であり、学習機会の提供者である大学が質保証の主体となるべきだとした。そして、現行のシステムについては、学位ごと分野ごとの質保証の基盤が弱い点を指摘した。
 委員からは、現行の認証評価について「社会情勢の変化が激しいなか、七年ごとの評価というのは、間が長過ぎではないか」という意見や、かりに「不適合」となった場合にも「適合」となることが必ずしも法的に義務付けられていない点について「何のサンクションもないのはおかしい」「評価結果に対するインセンティブも持ちにくい」と、「適合」になることの義務付けが求められた。また、評価方法については「大学の特色を尊重するなら分野別評価をやらざるを得ない」「ステークホルダーの要求に対して満足いく形で大学が機能しているのか、達成度評価をきちんとしなくては質保証にならない。質的な機能分化、大学の役割ごとの評価が必要なのではないか」という意見が出たが、分野別評価の導入には膨大なコストがかかることから財政面での困難さが指摘された。
 自己点検・評価システムも大学間でまだまだ差がある。評価文化を育てるという視点も必要だ。評価結果の公表の仕方も考えるべきだ、などの声があがった。

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