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記事2009年6月13日 2139号 (3面) 
児童・生徒の学習評価の在り方WGが初会合
効率化・簡素化がポイントに
教員の多忙さの改善へ
今年度中に報告

 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会はこのほど、部会内に「児童生徒の学習評価の在り方に関するワーキンググループ」を設置、その初会合が六月八日、文部科学省内で開かれた。
 このWGは、小・中・高校、特別支援学校の学習指導要領が改訂されたのを受けて、@児童生徒の学習評価の在り方A指導要録の改善等を検討するもの。具体的には現行の学習評価の在り方の総括や評価(例えば目標準拠評価、観点の考え方、評価規準など)、基礎的・基本的な知識・技能の評価、思考力・判断力・表現力等を育成するための評価、評価に伴う教員の負担軽減等を検討する。
 前回の学習指導要領改訂で学習評価に関しては、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の四つの観点から行うこと、各学校はこれらの定着・育成状況を判断するための評価規準を作成すること、またいわゆる絶対評価が導入された。各学校の評価規準の参考資料として国立教育政策研究所が評価規準を例示している。
 そうした改善により多くの教師は日頃から児童生徒一人ひとりをよくみるようになった反面、評価活動が複雑になり余裕がなくなったと感じている教師が小・中学校で七割前後に上るようになったことも同省の調べで明らかになっている。多忙の教員にとって成績処理は大きな負担の一つ。そのため今回の学習評価の在り方の改善等では、同省の金森越哉・初等中等教育局長も会議の冒頭で検討の視点として効率化・簡素化を挙げた。
 この日のWGでは、現行の四つの観点による評価については、継続を望む委員が複数みられた。また絶対評価に切り替えられたことで中学校教員の八割弱は「学校の評価が入試の現状にそぐわなくなった」と考えていることも同省の調査で明らかになっているが、この日のWGでは、委員からも大学入試の影響を視野に入れた検討の必要性が指摘された。このほか、高校の指導要録(参考様式)では、観点別学習状況を記録する欄がないこともあって、委員からは「高校における観点等を踏まえた評価はまだまだの状況。少なくとも必修科目については観点別評価があっていい」との意見、指導と評価の一体化が必要だとする意見、評価の解説書を出してほしいとする意見、「関心・意欲・態度」を客観的に捉えることは難しい、評価者の主観を重視すべきだとする意見、学習評価について通知表の在り方を含め社会一般にも伝えていくことが必要との意見などがあった。
 WGでは今年度中に報告をまとめ、教育課程部会に提出する。WGの主査は、無藤隆・白梅学園大学教授。

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