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記事2009年6月13日 2139号 (2面) 
高校不登校生の単位認定特例措置が全国化
全日制・定時制 通信制課程の取り扱いを準用
単位認定36単位まで可能に

 高校全日制課程及び定時制課程における不登校生徒に対する通信の方法を用いた教育による単位認定が平成二十一年度から可能となった。この単位認定制度は、いわゆる教育特区に限っていた特例措置を全国展開したもの。学習意欲がありながら登校できないために、原級留置(いわゆる留年)、転学、中途退学せざるをえない不登校生に学習機会充実を図るもの。特区での特例措置は全日制課程に関して、二十単位を上限に実施されていたが、同省では全国展開にあたって定時制課程の生徒にも対象を広げたほか、通信の方法により単位認定する上限も三十六単位に増やしている。具体的には、現行の学習指導要領第一章第八款(通信制課程における教育課程の特例)に定める各教科・科目の添削指導の回数及び面接指導の単位時間数の取り扱い(ラジオ放送、テレビ放送その他の多様なメディアを利用して行う学習を取り入れた場合の取り扱いを含む)に準じた特別な教育課程を編成して教育を実施する必要があると文部科学大臣が認める場合に可能となるもの。面接指導の一部についてインターネットを活用した教育で行うこともできる。
 ただし単位認定が安易に行われないよう、全日制あるいは定時制課程の教育に必要な教職員等の体制に加えて、通信の方法を用いた教育を実施するために必要な教職員等の体制を整備することが必要で、具体的な指導計画を作成することになる。申請に当たっては実施計画が必要で、単位認定を行う教科・科目、認定する単位の上限、通信の方法を用いた教育を実施するために必要な教職員等の体制等を記載する。文部科学省の初等中等教育企画課教育制度改革室によると、これまでに問い合わせはあるものの、具体的な申請はまだない。
 北九州市の「自立と共生の教育」特区で行われた「高校全日制課程において不登校状態にある生徒に対するIT等の活用による学習機会拡大事業」では、特例対象校(学校法人立、仰星学園高校)の特例適用生徒はかなりの割合で不登校状態が解消するといった成果がみられた。
 そのため同省も教育上の弊害は認められないとして全国化が適当としたが、ポイントとなるのは不登校状態にある生徒に適切な指導が行われるかどうかのようで、同校も通常の倍程度の教員がきめ細かな面接指導や家庭訪問等を行った。
 文部科学省では、「不登校状態を解消し、卒業する見込みのない者、学習成果を評価することができないような者等に対して単位認定を行うような安易な運用が行われることがないように留意してほしい」としている。まずは相談を、とも。担当は文部科学省初等中等教育局初等中等教育企画課教育制度改革室。

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