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記事2009年5月3日 2136号 (2面) 
大学の質保証 比重増す学生の到達度評価
設置基準明確化も画一基準適用には否定論
【質保証システム部会】
 中央教育審議会大学分科会の質保証システム部会は四月二十八日、文部科学省内で第二回会合を開き、大学の質保証システムの在り方について荻上紘一委員(独立行政法人大学評価・学位授与機構教授)が英国とEUの取り組みを、前田早苗委員(千葉大学普遍教育センター教授)が米国の状況についてそれぞれ報告した。荻上委員は、質保証は自主的・自立的に行われるべき、としながらも、大学間には能力差があり、自主的・自立的質保証には程遠い状況で、シラバスやGPA、FDなどの実質化が図られていないこと、義務の自己点検・評価結果を公表すらしていない大学があり、ペナルティーも課されていないことなどを指摘、質保証に向け設置基準の具体化・明確化を早急に進めるよう求めた。
 前田委員は、大学の認証評価では近年、学生の到達度が評価項目に加えられる情勢で、「成果」の比重が増し、大学は成果を証明する明確な手段が求められていること、ただし米国でも画一的な基準適用には否定的であることなどを報告した。
 産業界出身の委員からも、品質(学生の質)管理がきちんとできているかどうかが重要で、大学に質保証システムがあるかどうか(のチェック)が国の仕事との意見が聞かれた。画一的基準は好ましくないとの背景には大学の機能別分化を進めるとの前提がある。私大関係者からは、今後見込まれる機能別分化の動きと各大学のミッションをどうつなぐかがポイントで、機能別分化が日本の大学の多様性を縛りかねない懸念や、ある程度、大学の多様性が保証される設置基準を求める意見も聞かれた。
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