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記事2009年5月3日 2136号 (1面) 
高校生の授業料減免等への緊急支援に486億円
政府が21年度補正予算案を決定
文科省全体で一兆三千億円
私大の授業料減免等で110億円
政府は四月二十七日、平成二十一年度補正予算案を閣議決定し国会に提出した。遅くとも六月十二日には成立の見通し。文部科学省関係補正予算案は総額で一兆三千百七十四億円。このうち私学関係分としては、「高校生の授業料等減免等に対する緊急支援」に四百八十六億円(私学以外も対象)、「授業料減免など学生への経済支援を行う大学等に対する無利子融資の創設」に百十億円、「私立学校施設における耐震化・エコ化・ICT化」に百七十三億円、「私立大学等の研究環境の整備・充実」に二十九億円などが計上されている。

 「高校生の授業料等に対する緊急支援」は、百年に一度といわれる経済不況の中で、雇用情勢の悪化から、今後、更に授業料を滞納あるいは学業の継続が困難になる高校生の増加が見込まれ、都道府県による授業料減免補助や奨学金事業の希望者が二〇%程度増加することを想定し、都道府県における基金造成を支援するもの。平成二十一年度から二十三年度までの三年間が対象。その三年間に授業料減免補助で約十一万三千人、奨学金事業で約九万九千人の増加を見込んでいる。
 大学等に関しては、日本私立学校振興・共済事業団に対して百十億円を出資し、無利子融資枠を創設する。この事業は、大きく分けて、(1)授業料減免・徴収猶予等の学生への経済的支援を行っている大学等に資金を無利子で融資する事業(2)現在の経済情勢により資金繰りが一時的に悪化している小規模法人に対して、経営の安定を図るための資金を無利子で融資する事業――の二本立て。
 また私立学校施設の耐震化・エコ化・ICT化は、Is値〇・三未満の建物を中心に、私立学校の耐震化を推進するほか、私立学校における太陽光パネル設置などエコキャンパス事業の推進に百五十三億円、デジタルテレビ整備等に二十億円の予算を計上している。
 私立大学等の研究環境の整備・充実は、私立大学等の基盤的な研究装置・設備等の整備を目的としたもの。
 このほか、教育研究を高度化して、世界の有力大学と伍すため、大学教員・博士課程学生等が安心して教育研究に専念できるよう支援体制の整備に三百億円を計上している。具体的には研究技術支援、研究運営支援、留学生相談等の国際支援などの体制を整備する。研究中心の一定規模の国公私立大学を対象に、一大学につき五十人、合計で二千五百人を配置する。
 周産期医療体制の整備を促進するため、NICU(新生児集中治療室)が未設置の大学、周産期関係病床が二十床未満の国公私立大学附属病院の周産期医療環境の整備を支援する。予算規模は国公私立大学を合わせて三十九億円。このうち私立大学では慶應義塾大学病院など六大学病院が対象。
 また私立大学附属病院の施設設備への融資枠を拡大し、融資に対する利子助成制度を創設する。予算額は一億円。融資規模は三年間で約一千億円に上る。さらに国公私立大学病院において医師等の厳しい勤務状況を緩和して質の高い医療を提供するため、医療補助職員や看護補助者等の雇用を促進し、関係職種間の役割分担を推進する。
 七十九の全大学病院本院が対象で、百床あたり二人程度配置する。合計では一千百二十人(一大学平均十四人)を手当てする。このほか留学生の受け入れ促進、若手研究者等の海外への留学支援には四百六十三億円の予算を計上している。

日本学生支援機構
緊急採用奨学金の貸与人員枠を倍増

 公立小中学校の耐震化に関しては、Is値〇・三未満の施設の耐震化の予算措置を完結するとともに、Is値〇・三〜〇・五を中心に、Is値〇・五以上を含めて、約八千三百棟の耐震化を進める。
 また公立小中学校の太陽光パネル等エコ改修、省エネ改修(二重サッシ・断熱材等)校庭の芝生化等を推進する。太陽光パネル設置に関しては、早期に現在の十倍の一万二千校の設置を目指す。地上デジタルテレビ(電子黒板を含む)の整備では六百四十七億円を計上。幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校、公民館に四十三万五千台を整備する。電子黒板は小・中学校に各一台を配置する。公立学校のコンピュータ、校内のLANに関しては、総額一千四百二十億円をかけ、百九十五万六千台のパソコン、十七万二千室の校内LANを整備する。
 また国立大学の基盤的設備・最先端設備の整備に九百五十億円、国立大学施設等の老朽化対策・高度化等の推進に六百六十四億円を計上。
 このほか保護者の家計が急変した学生に対する独立行政法人日本学生支援機構の「緊急採用奨学金」の貸与人員を倍増して、約八千人まで対応できるようにする。
 また失業などで奨学金の返還が困難になっている人に対して、返還猶予に関する基準を弾力化して、返還困難者に対して十万人まで返還猶予が可能となるよう対応する。
 加えて奨学金制度に関する知識が十分得られず、進学を断念する学生生徒が発生しないよう、学校、生徒、保護者への情報提供の充実、新聞広告等による広報などを充実する。予算額は二億円。また奨学金振り込みの迅速化など奨学金事業の利便性向上のための対応等を進める。予算額は十億円。
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