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記事2009年4月23日 2134号 (1面) 
私学事業団 学校法人経営改善方策アンケート報告を公表
社会人学生 若い学生の刺激に
入試制度に工夫 8割強の大学実施
授業料等減免、短大では32%
 日本私立学校振興・共済事業団はこのほど「学校法人の経営改善方策に関するアンケート報告」をまとめた。昨年六月から七月に大学法人五百四十一、短大法人百二十七を対象にしたもので、回収率は九三%。少子化時代を生き抜く鍵の一つである「社会人」に関しては、八割前後の大学等が募集活動を行っており、積極的な学習意欲に「一般学生の手本」と高い評価の声が聞かれた。

 社会人を受け入れるための募集活動に関しては、大学法人の七六・九%、短大法人の八一・八%が実施しており、受け入れを検討している大学法人も七・一%、短大法人では一〇・四%あった。
 社会人といっても、「一般社会人」「定年等退職者」「主婦」「卒業生」などがいて、募集活動の内容としては、一般社会人ではオープンキャンパスが最多、次いでホームページでの募集などの順だった。定年等退職者では社会人向けパンフレットの充実が圧倒的に多く、主婦は一般社会人と同様の傾向。卒業生も同様だが、同窓会・後援会の積極的利用の比率は他と比べ高い状況だ。
 社会人の受け入れのための取り組み・支援策としては、社会人のための入試制度が大学・短大とも八割強で実施されており、次いで聴講制度・公開講座の導入が約六〇%で続いている。そのほか授業料の免除・減免、土日の授業・講座の開講などが見られる。学校によっては面接のみで選抜する「シニア五〇+入試」を導入、四年にわたり年間学費の半額相当を給付する奨学金制度の創設を行っているところや、余裕のある履修計画が組めるよう「単位制授業料」を導入した学校、図書館の土・日開館・長期履修制度の導入、サテライト通信を利用しての講座開設などの例が見られた。
 社会人学生に関しては、「実習・実験などで一般学生のよい手本」「多彩な人々の出会いにより、学生同士の視野を広げる効果が期待できる」「積極的に学ぶ社会人は十八歳で入学する学生たちにも大変よい刺激」といった期待の声は少なくない。また社会人に学習集団のリーダーシップを期待する声も複数見られる。社会人の受け入れは、卒業生のリカレント教育、学び直しの機会提供にも繋がっている。
 文部科学省の中央教育審議会は、高等教育の今後の規模について検討を始めたが、社会人が一つの鍵となっており、今後、社会人受け入れ拡大に向けた環境整備策が検討される見通し。しかし量的な面はもとより社会人は高等教育の質の向上という面でも大きな役割を果たすことになりそうだ。
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