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記事2009年4月23日 2134号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
大学の量的規模
社会システム維持発展に必要な規模検討へ
定員減の専任教員数など課題に
【大学分科会】
 中央教育審議会の第七十八回大学分科会が四月十四日、文部科学省で開かれ、人口減少期における大学の量的規模等について審議した。大学の量的規模については、産業界代表委員を中心に、「どういう機能を持った大学が必要か一旦白紙にして議論すべきだ。各大学の教育と研究の競争力をランキングで示せ」「労働市場を見て高等教育参入者を決めるべきだ。ある程度区切ってどの分野にどのくらいの人材が必要か検討すべきだ」といった意見が聞かれたが、安西分科会長は、「子供の数が減っているのだから大学の数も減らすべきだという声もあるが、将来に向け必要な人材がないという声も聞く。社会人学生も日本は少ない。二十年後の労働力構造がどうなっているのか、それにどうこたえるのか、の視点が必要。量を先に決めておくということではないと思う」と語った。
 また早稲田大学の白井克彦総長は、期待通りのパフォーマンスを挙げていないとの企業側の声に大学関係者は耳を傾けるべきだ、としながらも、量の規制が必ずしも質の向上に直結しないこと、国公私立大学間で公平な競争原理が働いていないこと、大学間の競争一つをとっても地域間の競争、世界的な競争などさまざまな競争があり、単純ではないことなどを説明した。
 欧米並みに社会人学生の受け入れ拡大の必要性を指摘する委員も複数おり、「社会人学生を考えれば量的に(学生数が)増えるばかりか、質的にも向上する」とし、社会人受け入れシステムの検討の必要性が指摘された。
 文部科学省では、過去の高等教育計画で取られた「規模の上限」というものではなく、人口減少期の中で社会システムの維持・発展に大学が果たす役割等を考え、「必要な規模」または「望ましい(妥当な)規模」の観点から検討していく方針。また大学の自主的な入学定員の見直し、学部・学科等の再編・縮小を促す仕組みの是非、具体的には収容定員を縮小化した場合の専任教員数の基準などを検討する。
 専門的な検討は、四月二十三日に発足する大学分科会の「大学規模・大学経営部会」を中心に行い、ワーキング・グループも設置する。
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