社団法人日本私立大学連盟（会長＝白井克彦・早稲田大学総長）は、このほど、「加盟大学財務状況の概要―平成十九年度実績―」を公表した。十九年度の加盟法人（百十法人、百二十四大学）の財務状況を明らかにしたもの。附属の幼稚園や病院などを加えた法人全体ではなく、大学部門(学校法人〈法人本部〉、大学〈大学院を含む〉、図書館、研究所)について見ると、百二十四校の帰属収入の合計は一兆五千二百六十七億円で、前年度比ほぼ同額だった。十七年度以降は一兆五千億円強で推移している。
　基本金組み入れ額二千百三十七億円を引いた消費収入の合計額は一兆三千百三十億円。それに対して消費支出の合計額は一兆四千三百八十九億円だった。消費支出は増加傾向が続いており、前年度比では二・六％の増加。
　収入のうち補助金が減額傾向にあることから、学生納付金と補助金で、人件費・教育研究経費を賄えない状況。
　人件費・教育研究経費に対する補助金の割合はピーク時の昭和五十四・五十五年度には三〇・九％あったが、平成十九年度には一二・三％にまで落ち込んでいる。
　学生納付金収入は前年度比一・五％増の一兆八百九十四億円で、十六年度以降増加傾向で推移している。資産運用収入は前年度比七十七億円増の五百九十七億円。ただし平成二十年度以降は金融不況等の影響から資産運用で大きな損出が生じており、入学検定料収入の落ち込みなどを含め帰属収入減が見込まれる。
　一方、支出に関しては、人件費は前年度比〇・三％の増加。増加率は他の費用と比べ小さい。支出全体に占める人件費は五〇・四％。
　教育研究経費は前年度比四・五％の増加だった。管理経費は同三・一％の増加。施設関係支出は前年度比一六・〇％と大幅に増加していたが、長期的には微減傾向。設備関係支出の総額は五百四十九億円で前年度とほぼ同額。収入と支出を学生一人当たりで見ると、収入額は百八十七万一千円。そのうち学生納付金が百十三万一千円、資産売却収入が二十五万八千円、補助金が十六万七千円などで、支出では人件費が八十二万八千円、教育研究経費が三十九万三千円など。文科系、理工科系とも収入超過を維持しているが、医歯科系は学生一人当たり三百二十一万九千円の支出超過。医歯科系の場合、学生一人当たりの収入は一千三十二万四千円。うち学生納付金が四百二十七万三千円、補助金が二百八万九千円、寄附金が百一万二千円、借入金等収入が八十万七千円など。支出総額は一千三百五十四万四千円で、うち人件費が七百九十五万四千円、教育研究経費が三百二十四万一千円など。