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記事2009年4月13日 2133号 (2面) 
大学の看護系人材養成
文部科学省
統合カリの見直し等で
検討会設置、6月にも中間報告
 文部科学省の「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」の第一回会合が、三月三十一日、東京・竹橋のKKR東京で開催された。=写真=この検討会は、看護学教育の改善・充実について検討するため新たに設置されたもので、検討事項は、(1)保健師助産師看護師の三職種の免許取得に必要な教育内容を体系化して教授する学士課程における看護学教育の在り方、(2)新たな看護学教育の在り方とその質の保証の在り方、(3)大学院における高度な職業人養成の在り方、(4)その他。実施期間は今年の三月十六日から来年三月三十一日まで。事務局は高等教育局医学教育課。
 初会合では「座長の選任等」と「統合化したカリキュラムの在り方に関する意見交換」の二つが議事となった。
 座長の選任では、中山洋子・福島県立医科大学看護学部長が座長に選任され、副座長は座長指名により菱沼典子・聖路加看護大学看護学部教授が選ばれた。
 事務局からは、論点として前出の検討事項(1)(2)(3)の説明が行われ、なかでも(1)の看護学教育の在り方については、看護学教育をめぐる社会の変化や、統合化したカリキュラム(保健師助産師看護師の三つの免許取得に必要な学士課程のカリキュラム)の見直しについて議論のうえ、これを中心に六月をめどに中間とりまとめを行う予定とされた。
 続いて意見交換となり、最初に中山座長が、「四月から新カリキュラムになるが、大学の独自性を生かしつつ、三つの資格取得というのは行き詰まっている、よい提案ができればと考えている」などとあいさつした。
 委員からは、保健師に関心ない学生も統合カリキュラムのため保健師をとらないと卒業できない、現場では実習学生のために多くの時間を割き業務に支障を来している、高度な実践力のある助産師が求められているが大学四年間での教育には無理がある、統合カリキュラムから助産師保健師を外し専攻科を別に設けてはどうか、高度な専門性については卒業後の職場研修で分野ごとに専門性を養成してはどうか、などと統合カリキュラムから保健師等を外す方向の意見が多く出た半面、統合カリキュラムを受けた卒業生の三十年後の調査では半数が保健師として働いていることから長いキャリアの中で見なくてはいけない、との意見もあった。さらに、大学であるから教養ある教育をすべきであり厚生労働省の指定規則を外すことを求めているが、そこまで見直せるのか、といった指摘もあった。
 この日の会合にはオブザーバーとして野村厚生労働省看護課長も出席した。今後のスケジュールは、第二回(四月二十日開催予定)で有識者ヒアリングを行い、第三回では統合化したカリキュラムに関する意見まとめを行い、第四回に中間まとめ案を検討、第五回では中間まとめ報告等を予定している。検討会委員のうち私学関係者は、菱沼副座長、佐藤弘毅・目白大学長、富野康日己・順天堂大学医学部長、平澤美恵子・日本赤十字看護大学教授。
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