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記事2009年4月13日 2133号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
夏にもまとめ教育機関としての実質化
産業界のニーズの具体化など審議
【大学分科会大学院部会】
 中央教育審議会大学分科会の第四十二回大学院部会が、三月三十一日、東京・霞が関の合同庁舎で開催された。今回は、中央教育審議会が第五期となって初めての大学院部会のため、(1)部会長の選任が行われたほか、(2)大学院教育の現状についての説明、(3)大学院部会における当面の論点についての説明が行われた。
 部会長選任では、有信睦弘・株式会社東芝顧問が部会長に、中西友子・東京大学大学院教授が副部会長に選任された。
 文部科学省からは、大学院教育の現状について、第四期で積み残した課題および論点として、(1)大学院の教育の実質化、(2)大学院生や博士課程修了者等への進路や経済的支援、(3)大学院の今後の量的規模、(4)大学院大学(特に専門職大学院大学)の在り方、(5)専門職大学院の在り方、(6)その他(修士課程の位置づけ、学部と大学院の専門教育の整理)―が挙げられた。
 大学院部会における当面の論点として夏までのとりまとめが予定されているのは、「大学院の教育機関としての実質化について」と「産業界から大学院教育に期待するニーズについて」の二つ。具体的検討事項としては、「大学院の教育機関としての実質化」では、大学教員に教育機関であるとの認識の浸透を図る方策、施策要綱への評価、施策要綱の改善および今後取り組むべき方策、財政支援の在り方―が挙げられた。また「産業界から大学院教育に期待するニーズ」では、修得してもらいたい具体的な知識・技能・能力、そのための方策、キャリアパスの提示および就職支援のための国の方策―が挙げられた。
 あいさつのなかで有信部会長は、大学院が日本にとって重要な教育の場であり、どうあるべきかで議論したいと述べた。また、文部科学省の徳永保・高等教育局長は、大半の大学院は組織的な教育がなされていない、世界に伍(ご)していく必要があり、幅広い議論をお願いしたい、と述べた。
 委員からは初回のため一言ずつ意見が述べられ、修士課程の学生は一年目から就職活動で落ち着かなくなるという問題がある、臨床系大学院は職業人養成なのか研究員養成なのか分からない上に学生数が増えすぎて医師として働くべき人数を減らしている、博士課程修了者に対する企業のニーズを洗い直す必要がある、留学生に比べ日本人大学院生に支援が少ない、優秀な留学生を確保するには日本の学位が海外で評価されることが必要だ、などの意見があった。また、専門委員の続橋聡・日本経済団体連合会産業第二本部長は、大学院教育については企業側として経団連でも取り組んでおり、具体例として、IT分野だけは筑波大学と九州大学の修士課程に企業から教師を送り込んでおり、今年その学生たちが卒業したが就職試験で評価された、などと話した。
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