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記事2009年4月13日 2133号 (1面) 
高校の履修状況に配慮64%
国公私立大の教育改革状況
文科省が調査初年次教育実施校も急増
文部科学省は三月三十一日、国公私立大学における教育内容等の改革状況等を公表した。平成十九年度の状況について全国公私立大学七百四十二大学(通信制大学、短期大学を除く、放送大学を含む)を対象に昨年十月から十一月にかけて実施した。回答率は一〇〇%。
 それによると、専門高校出身者や帰国子女、当該課目を履修していない者などに補習授業を実施することや、既修・未修者に分けての授業など入学者の高校での履修状況に配慮した取り組みを行っていた大学は全体の六四%の四百六十三大学あり、ここ数年、三十校程度のペースで増加していることが分かった。また大学で勉学を進めるなどのうえで必要な、レポート・論文の書き方などの文章作法や口頭発表技法、情報収集や資料整理の方法といった初年次教育を実施していた大学は全体の七九%、五百七十大学を数え、前年度に比べ約七十校増えていた。
 授業の質を高めるための取り組みとして、学生による授業評価を実施していた大学は、国立七五%、公立七八%、私立七七%で、評価項目として最も多かったのは、「授業のわかりやすさ」、以下「担当者の熱意・意欲」「授業に対する興味・関心」などだった。学生による授業評価の結果を授業改善に反映させる組織的な取り組みは、全体の七一%、五百二十七校で行われていたが、前年度と比べ百五十校も増加していた。厳格な成績評価のためにGPA制度を導入していた大学は学部段階で全体の四一%、二百九十五校、研究科段階では二〇%、百二十大学だった。ただし進級判定や卒業判定、退学勧告の基準として活用している大学はまだ少数で、学生に対する個別の学修指導や、奨学金や授業料免除対象者の選定基準に活用する大学が多い。
 大学の国際化に向けた取り組みでは、「英語による授業」(日本語を併用するもの、英語教育を主目的とするものは含まず)を行っている大学は全体の二七%、百九十四大学と、なお低調だが、英語による授業のみで卒業できる学部は、国際教養大学国際教養学部、東京基督教大学神学部、上智大学国際教養学部、早稲田大学国際教養学部、立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部、アジア太平洋マネジメント学部。研究科は六十八大学、百二十四研究科がある。
 開かれた大学への取り組みでは、入学時期の弾力化として、四月以外の時期に入学している者は学部段階では全体で二千二十三人、研究科段階では四千三百十人を数える。高校から大学学部への飛び入学者はわずか十人(六大学)、学部から大学院への飛び入学者は三百二十一人(七十四大学)。このほか高校生が大学の科目等履修生として修得した単位を大学入学後に既修得単位として認定する大学は七十三校、認定された学生は一千五百二十八人に上り、年々、急速に伸びている。
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