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記事2009年3月3日 2129号 (1面) 
学科等の目的と免許状との関係慎重に対応
中教審・教員養成部会決定
経営学系等の「保健体育」申請急増で
課程認定済校もフォローアップ
 中央教育審議会初等中等教育分科会の第五十七回教員養成部会が二月二十七日、文部科学省内で開かれた。
 この日は、第五期中教審発足後、初の部会。そのため部会長の選任を行い、梶田叡一・兵庫教育大学長を部会長に、安彦忠彦・早稲田大学教育・総合科学学術院教授を副部会長に選任したほか、(1)「教職課程認定大学実地視察規程」の改正(2)「大学における教育課程の共同設置制度に係る教育職員免許法施行規則」の改正(3)学科等の目的・性格と免許状との相関関係等について審議した。
 部会冒頭、あいさつした前川審議官は、教員養成部会に関して、当面の課題はないが、今後二年間はこれまでの施策に関するフォローアップを要請した。
 また議案(1)に関しては、教職課程認定大学の実地視察には、これまでの課程認定委員に加え、経験豊富な視学委員にも参加してもらい、入念な視察で改善につなげたいとの改正の趣旨が文部科学省から説明された。実地視察規程の改正について委員から異論はなく承認された。
 また(2)に関しては、本来、教職課程認定大学は免許状授与の所要資格に必要な授業科目を自ら開設しなければならないが、平成二十一年度から大学における教育課程の共同実施制度が導入され、複数の大学で授業科目を分担して開設し、同一の教育課程(共同教育課程)を編成することが可能となるため、共同教育課程に関しては、他の大学で開設する授業科目を、それぞれの大学が自ら開設したものとみなす旨の例外規定を設けるなど必要な規定を整備したいとの説明が同省からあり、これも委員から異論なく承認された。
 (3)に関しては、今年度の教職課程の認定申請で経営学系や心理学系の学科における保健体育の教員免許の課程認定が目立ったため、来年度以降は、課程認定に当たり学科等の目的・性格と免許状との相関関係の薄い申請については慎重に対応すること、今年度認定を行う課程やこれまでに認定された課程について課程認定は有効とするものの、今後、実地視察等を通じて教職としての専門性が適正に確保されるようフォローアップを行っていく旨の省令の改正が同省から説明され、承認された。文部科学省からはフォローアップの結果、問題が明らかになれば認定大学に是正を勧告、場合によってはさらに強い措置もあり得ると説明があり、認定取り消しも視野に入れていることを示唆した。
 すでに教育職員免許法施行規則の一部改正が行われており、今年四月一日からは教職課程の改善勧告、勧告によっても是正が行われない場合は認定取り消しができることになっている。
 審議の中では一部委員からは「慎重に対応する(という裏付け)理由は何か。認定基準そのものの手当てが必要ではないか」との意見が出され、文部科学省の大木教職員課長からは「技術的な側面から検討したい」との回答があった。
 今年度十件の申請があった事例とは、例えば経営学科でスポーツマネジメントの観点から社会体育の指導者を養成、「保健体育」の教員免許を出すというもの。課程認定に必要な基準は満たしているという。
 この日、大学における教職課程認定の是非等を審議する課程認定委員会委員からこれらの問題の経緯説明があり、当初は新しい領域から保健体育の教員が出てくることはいいことだと考えていたが、その後、同種の申請が相次いだため、教員免許制度そのものを崩壊させる恐れがあると判断したという。またこの問題の根底には大学の設置学部・学科の激しい変化と教員免許指定科目(免許基準)との衝突≠ェあるとし、何らかの踏み込んだ対応の必要性を指摘した。さらに過去同様に、「保健体育」免許の課程認定をした大学でもフォローアップの結果、問題が判明していることも報告された。
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