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記事2009年3月3日 2129号 (3面) 
新校長インタビュー (176) ― 学校法人新渡戸文化学園 東京文化中学・高等学校
校長 長本 裕子氏
新渡戸イズムを理解し
リサーチ&プレゼンテーション実践


 「本校は現在、『リサーチ&プレゼンテーション』(R&P)に力を注いでいます」と、長本裕子・東京文化中学・高等学校長(東京都中野区)は切り出した。
 同校は、初代校長・新渡戸稲造の「Sense of Proportion」(相手を思いやる心、違いを認め合う心)」と、創立者・森本厚吉の「3H精神」を基本に据えて、人格教育を行い、国際的な感性と判断力、行動力のある女性を育てることを目標に掲げている。「3H精神」とは、「Head」(活(はたら)く頭=知識)、「Hands」(勤(いそ)しむ双手(もろて)=体験)、「Heart」(寛(ひろ)き心=寛容)を表す。同校の教育は、すべてがこの教育理念から出発しているといっていい。R&Pもその一つだ。
 R&Pは、生徒がそれぞれのテーマを持って、自分で調べ、レポートを作成し、クラスで、あるいは全校生徒の前で発表を行うことだ。これを繰り返し行うことで、発表するスキルを修得し、自分の考えを発信する力を身につけようとするものだ。例えば、国語科では中一から高二まで全員が意見発表を行う。意見発表会の優秀者は「中学生の主張東京都大会」や「東京私立高等学校弁論大会」に出場している。これらの大会では、毎年のように成績上位者が出ている。「R&Pが実を結んでいる」(長本校長)。
 また中学で実施されているフィールドトリップでは、模擬防災体験、古墳史跡調査、地裁裁判傍聴など体験学習や実施見学を行い、レポートにまとめ発表する。
 同校には一九五七年から始まり、以後五十年にわたり続いているものに学校給食(スクールランチ)がある。中学一年から高校二年までが対象で、学校専属の栄養士・調理師による完全手作りだ。生徒からは、栄養のバランスの取れた、心のこもった給食として好評だ。
 「本校は、学問とともに人格も備わっていなければならないという『新渡戸イズム』の下に、一貫して心の教育を実践しています」と長本校長。『新渡戸イズム』を理解してもらうために、新渡戸の著書からキーワード、テーマを探り出し、分かりやすく現代語の表現にし、まとめた冊子『夢に向かって』を利用して、朝礼の時間で考えさせている。
 また、進路開発については、生徒一人ひとりの「成長カルテ」の作成、複数の教員がチームで一人ひとりを指導する「One to One」体制、難関大学を目指す「ドラゴンクラス」の創設など取り組んでいる。同校は確実に進化している。
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