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記事2009年3月13日 2130号 (1面) 
高校学習指導要領等を改訂
理数、英語等充実へ
批評、討論等の学習充実
英語教育の対応課題に
文部科学省は三月九日、高等学校学習指導要領等を改訂した。今回の改訂は知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスや道徳教育や体育等の充実を通じ豊かな心や健やかな体を育成するなどが基本。教育内容では言語活動、理数教育、伝統文化に関する教育、体験活動、英語教育等の充実を図るのが特徴。改訂案公表の段階で私学関係者らの関心を集めた英語の「授業は英語で指導することを基本とする」との方針は結局変わらなかった。

 高校学習指導要領に関して文部科学省は、昨年十二月二十二日に改訂案を公表し、広く国民から意見を募集した。その結果、改訂案公表後一カ月間に全国から三千五百九十二件の意見が電子メール等で寄せられた。
 その中には英語教育に関する意見も数多くあり、私学団体が要望していた「授業は英語で行うことを基本とすることは、教員の語学力不足の観点から疑問であり、授業方法の一つの選択肢にとどめるべきだ」等の意見に関して同省は、「生徒の理解の程度に配慮しながら、英語で授業を行うことは一般的には可能であると考えている。特に準備が必要な教員については、新学習指導要領が実施される平成二十五年度までに研修を深めることが必要」とし、また授業を英語で行うことについては「生徒のコミュニケーション能力の一層の伸長を図ろうとするもので、必要に応じて日本語を用いることを否定するものではない。今後の改訂の趣旨や具体的な授業イメージ等については解説書で明らかにする予定」としている。また英語を話す評価基準、求められるスキル等に関しては今後更に専門的な観点から検討していくとしている。今回の高校学習指導要領改訂では、昨年末の改訂案と比べ二百五十近い修正をしているが、大半は文言の修正。
 このほか改訂のポイントである言語活動の充実については、国語にとどまらず、様々な教科等で批評、論述、討論などの学習を充実、また理数教育では知識や技能を活用する学習や探求する学習を重視、指導内容と日常生活や社会との関連を重視する。伝統文化に関する教育では、歴史教育、宗教、古典、武道等に関する学習を充実する。体験活動に関しては、職業教育において産業現場等における長期間の実習取り入れを明記。そのほか体育、食育、安全教育や環境、消費者に関する学習を充実する。高校学習指導要領に関しては、今年四月から周知徹底を図り、可能なものは先行実施する。総則、総合的な学習の時間、特別活動は平成二十二年度から、数学・理科は平成二十四年度入学生から年次進行で実施する。保健体育、芸術など一部を除いて大半の教科に関しては、平成二十五年度入学生から年次進行で実施となる。
 同日、特別支援学校の学習指導要領も改訂された。改訂の基本は、障害の重度・重複化、多様化への対応、一人ひとりに応じた指導の充実、自立と社会参加に向けた職業教育の充実、障害のある子と障害のない子の交流及び共同学習の推進。
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