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記事2009年3月13日 2130号 (2面) 
看護の質向上と確保で中間まとめ
看護基礎教育
「大学化」には賛否両論併記
新人看護研修の義務化も視野に
 厚生労働省の看護の質の向上と確保に関する検討会(座長=田中滋・慶應義塾大学大学院教授)は、第五回の会合を、三月六日、東京・霞が関の厚生労働省で行い、中間とりまとめ(案)が提示された。同検討会は今回の会合でいったん終わるため、この中間とりまとめに基づいて、具体策の検討を行うことになる。
 提出された中間とりまとめ(案)では、
 (1)看護教育のあり方のうち、(1)看護基礎教育については、教育内容・教育方法の充実を図るべきであり、各看護師養成機関の置かれた状況に配慮するほか、いわゆる「大学化」については今後の動向を見て対応。今後、教育内容・教育方法の検討に早急に着手し、更なる充実を図るべき。(2)保健師・助産師教育については、現在の統合教育のままか、大学学部教育修了後の教育とするか、厚生労働省と文部科学省で協力して結論を出すべき。(3)看護教員については、大学院教育課程の活用、臨床現場での実践能力の保持・向上、高度な実践能力を持つ看護職員を教員にできる工夫が必要。(4)生涯教育については、リカレント教育の機会の確保・提供、実践的キャリアアップや専門看護師・認定看護師などの活用推進への支援策、教育内容・教育方法などの見直しが必要。
 (2)新人看護職員の質の向上については、看護基礎教育と臨床現場との乖離を埋めるための研修体制の構築、新人看護研修の制度化や義務化を視野に入れるほか新人看護研修を実施する機関に対する財政支援をすべき。
 (3)チーム医療については、医療の受け手も協働・連携すべきであり、また看護職員の役割の強化やそれぞれの役割分担を具体化し、普及を図るべき。
 (4)看護職員の確保については、確保強化は喫緊の課題であり、魅力ある職種とすること、離職防止策の強化、潜在看護職員の再就業希望者を把握する仕組みづくりや、多様な勤務形態・保育施設の整備など就労・就業への総合的な支援策が必要であり、それらを総合的に勘案した第七次看護職員需給見通しを策定すべき。
―などを提言している。
 また、この中間とりまとめの(4)看護職員の確保についての中で、多様な養成機関があることから、幅広い知識を持つなどの質の向上には大学化が重要だとする意見と、多様な養成機関があることで看護師が魅力的な仕事となっているだけでなく地域での看護師の供給を担っているなどの意見とが併記されたが、これについて大学化が望ましいとする委員から「養成機関を整理する方向を盛り込めないか」との意見があった。これに対しては、「養成機関の問題でなく、教育の中身を考えるべきではないか」「多様な選択肢があることが学ぶ人のためだ」、看護師といっても「違うバックグラウンドがある。必要なら、例えば税理士と会計士のように、違う資格にすべきだ」などの意見が委員から述べられ、養成機関の整理の方向を盛り込むことにはならなかった。
 このほか、財政支援が不可欠だ、ハードなことだけでなくマインドを盛り込んでほしいなどの意見があった。
 厚生労働省としては、財政支援の要請も検討する、文部科学省と共同しながら具体化に向けて取り組んでいきたいとしている。
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