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記事2009年2月3日 2125号 (2面) 
教職調整額見直し等作業部会
組織の一員、授業中心、健康に教員の勤務の基本確認
勤務時間管理の必要性も
 中央教育審議会初等中等教育分科会の「学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等に関する作業部会」(小川正人主査=放送大学教授)は、一月二十八日、都内で第六回会合を開き、今後の教員の勤務の在り方と教員の勤務時間の管理に関して討議した。
 このうち今後の教員の勤務の在り方に関しては、文部科学省から、九割前後の教員は仕事にやりがいを感じているものの、授業の準備時間不足、教員のやるべき仕事が多すぎると感じていること、ここ十年で精神疾患による休職者が約三倍にも増加していることなどが報告された。
 そのうえで今後の教員の勤務の在り方に関しては、(1)組織の一員として働く(2)授業を中心にして働く(3)教員負担が軽減され、心身ともに健康に働く――の基本的方向性が提案された。委員から異論はなく、これら三点を今後の改善の基本的方向性とすることが了承された。
 また教員の勤務時間管理に関しては、(1)組織的・一体的な学校運営を推進していく中で、管理職が教員の勤務内容や勤務時間を適切に把握し、管理することが必要(2)教員の勤務負担軽減のためには、まず勤務時間管理が必要(3)労働法制上の責務(労働基準法第三十二条、労働安全衛生法)から適切な把握が必要、との方向性が同省から提案されたが、委員の異論はなかった。
 しかし公立学校現場では教員の出勤時刻について管理が行われているものの、退勤時刻についてはほとんど把握されておらず、時間管理という考え方がこれまでなかったこともあって、管理職や教員の時間管理への理解がまず重要との声が複数の委員から聞かれた。
 時間管理の具体的方策に関して同省は、管理職による目視による確認・記録やタイムカード、ICカード等の活用が考えられるとしたうえで、時間外勤務や学校外の勤務等に関しては全教員が退勤するまで管理職が職場に残る必要があり管理職の負担が大きくなるため、教員からの自己申告により把握する方法も考えられるとの方針案を示したが、一部委員からは、「教員の自己申告では現場が混乱する。教職調整額による包括的な管理が望ましい」と、勤務時間を管理しての超勤手当て支給には課題が多いとの意見も聞かれた。
 また労働法の専門家からは労働者の安全管理の観点等から勤務時間の把握は外せないこと、そのことと超勤手当てについては少し異なる問題との考えを示した。
 同省では、教員の時間管理の具体的方策に関しては、例えば緊急補導などの業務に関する勤務時間外の場合では、(1)管理職の指示や承認を得ない段階で対応を始める場合には、管理職に連絡が取れる状況になり次第、連絡を取る(2)臨時又は緊急のやむを得ない場合であって超勤四項目に該当する場合には、管理職が適切に時間外勤務を命じ、対応終了後、管理職が確認それ以外の場合には、その対応方針等について教員から管理職に申し出て、翌日等に実際に要した時間等について管理職に報告(3)管理職は、教員からの報告等を基に、タイムカード、ICカードも活用し把握――を提案した。
 同作業部会では、教員の健康管理や教員間の負担公平化などの観点から、勤務時間を把握・管理することに関しては委員間の合意が得られたものの、教員の業務負担を教員以外の人に委託するなどして軽減した上での超過勤務についてこれまでどおり教職調整額による包括的方式で支給するのか、民間企業にならって残業代として支給するのか、また教員によって業務の処理に必要な時間が異なることから、業務の種別ごとに標準的な時間を策定するのかなどについては、まだまとまった議論は行われていない。
 同作業部会では三月末までにあと四回程度開催し、中間報告をまとめることにしている。
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