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記事2009年2月13日 2127号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
第四期最終の締め括り審議
国立大関係者の感謝足りぬとの声も
 【総 会】
 中央教育審議会は一月二十九日、都内の会館で第四期中教審の最後となる総会を開いた。
 この中で文部科学省の清水潔・生涯学習政策局長から第四期中教審の主な成果と第五期中教審に審議が引き継がれる案件が報告され、委員による締め括りの自由討議が行われた。主な継続審議案件は、(1)今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について、(2)小・中学校の設置・運営の在り方、学校・教職員の在り方及び教職調整額の見直し等について(3)中長期的な大学教育の在り方について(4)新しい時代に求められる青少年教育の在り方。
 第四期中教審は、教育基本法の改正を受け発足当初から異例の速さで、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」など、いわゆる教育三法の改正について審議、その改正の方向性については学習指導要領の未履修問題も絡んで、首長や私学関係者から、国や教育委員会の関与の強化につながるなどと反対の声が上がり、大きな教育論議を巻き起こした。総会では第四期中教審の山崎正和会長(劇作家)も「スタート時から荒れ模様で、随分、内部で異論が多かった。第四期は答申を八本まとめ、委員、臨時委員、専門委員合わせて五百五十人が関わった。ここまでやってこられたことは皆様のおかげ」と二年間の軌跡を振り返った。また教育三法が初等中等教育関係ということもあって、この二年間の中教審は初等中等教育中心との印象を強くしたのか、委員からは、「初等中等教育で成果が見られたことはよかった。高等教育ではあまり成果が見られず気になっている。量より質が重要」との意見が聞かれた。高等教育に関しては、教育再生会議の座長も務めた野依良治委員が国立大学の大学人や学生には私立大学の数倍の国税が投入されていることを指摘したうえで、「(国立大学の教員と学生は)感謝の気持ちと覚悟が必要だ。この点が徹底されていない。高等教育が衰退する原因だ」などと述べた。さらに委員からは、「大学の多様性を大事にしてほしい。それぞれの大学が積み重ねてきた努力が大事にされるレベルアップであってほしい」など初等中等教育を含めて多様性の尊重を求める意見が出された一方で、「まずディシプリンが重要。履修主義ではなく、修得主義に徹すべきだ」と基礎基本の徹底の重要性を指摘する意見も聞かれた。
 第四期の最終段階で諮問された今後のキャリア教育・職業教育のあり方に関しては、自分の可能性について過小評価している子どもたちが多いことや、教員が考える社会のニーズは多様性が欠けている点を指摘する意見、また「家庭教育が崩壊している危機感を持たないといけない」などの意見が出された。
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