こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2009年11月23日号二ュース >> VIEW

記事2009年11月23日 2154号 (1面) 
行政刷新会議 第一弾の事業仕分け終了
キャリア教育・職業教育 実施は地方の判断に
教員免許制度抜本改革は予算半額
私学研修福祉会事業も対象か

 インターネットによるライブ中継やテレビ放映で社会の大きな関心を集めた行政刷新会議・ワーキンググループによる事業仕分けの第一弾が十一月十七日に終了、十九日に開かれた同会議で仕分け結果が報告された。科学技術予算要求が大幅削減されたことから、大学界や産業界から猛反発の声が挙がった。第二弾は二十四日から二十七日までの予定で、複数の省庁が実施する類似事業の整理やモデル事業、独立行政法人・公益法人等の基金やそれら法人への支出が仕分けられる予定だ。


 事業仕分け四日目の十一月十六日には、文部科学省の「教員免許関係」、「道徳教育総合支援事業」、「キャリア教育・職業教育」、「食育の推進」(農林水産省も)等の事業仕分けが行われた。
 このうち、キャリア教育・職業教育に関しては、学校と職業との接続がうまくいかず、フリーターが増加、就職しても早期に離職する若者が少なくないことから、中央教育審議会等で現在、キャリア教育・職業教育の充実策等が検討されている段階。しかし事業仕分けでは、仕分け人から「一括交付金化するべき事業。国が中心となって行うべき事業ではない」「国は情報収集と効果把握のみすべき」など厳しい意見が相次ぎ、最終的には「実施は自治体の判断に任せる」との評価となった。事業仕分けの対象五事業には「専修学校における中学・高校等との連携教育推進プラン」「専修学校教育創造開発プラン」、専門高校の活性化などを目的とした「専門的な職業人材の育成推進事業」等が含まれていたが、十五人中三人の仕分け人は予算要求縮減を求めた。
 また教員免許制度の抜本改革も俎上に載せられた。
 教員免許制度の抜本改革について、民主党は教員養成課程を六年制にするなど、来年以降、具体的改革案の検討を進めることにしており、すでに有識者らから意見聴取も行っているが、この日の事業仕分けでは、「養成課程六年制(修士)というフィンランドのマネにならないよう短い時間でヒアリング調査してくればよい。調査に億単位の金がかかると考えるのは、現場を知らないから」等の意見が出された。
 また免許状更新講習開設事業費補助については「免許状更新制度そのものは二十二年度中でもできるだけ早期に廃止する。経過措置としてやむなく承認」「廃止へ。今年度のみ」「昨年の執行状況から見て、ニーズが低い」等の意見が出され、最終的には教員免許制度の抜本改革については「予算要求の縮減(半額)」、免許状更新講習開設事業費補助については「予算要求の縮減(三分の一から半額)」との評価が下った。
 「心のノート」作成などの道徳教育総合支援事業も「予算要求の縮減(三分の一から半額)」と整理された。食育推進事業は文部科学省、農林水産省の事業とも「予算要求の縮減」と評価された。
 十一月二十四日から二十七日までは事業仕分けの第二弾が実施されるが、その中では「高校奨学金(地方向け交付金)」、「大学等奨学金」等、民主党がマニフェストに掲げる事業とも関連の深い予算要求の仕分けが予定されている。また、「小中学校の設置・運営に関する調査研究事業」等、約七十ものモデル事業が仕分けされる予定のほか、検討を要する公益法人及び独立行政法人等の基金では、利子助成事業として、財団法人私学研修福祉会(私立学校施設高度化推進支援基金)が取り上げられる見通しだ。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞