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記事2009年11月23日 2154号 (1面) 
大阪府、低所得世帯の私立高校生に授業料等で55万円補助へ
私学に「自己努力」を求める
行政が授業料額を定める懸念も

 大阪府はこのほど、平成二十二年度から年収三百五十万円以下の世帯の私立高校生については授業料等を実質無償化する方針を決めた。高校等の授業料実質無償化については、鳩山政権が来年度から実施する予定だが、大阪府では、国の「高校等就学支援金」(年収三百五十万円以下の世帯の私立高校生等の場合は年額約二十四万円)に、府の「私立高校生授業料支援補助金」三十一万二千四百円(年収三百五十万円以下の世帯の場合、生徒一人当たり)を上乗せして、約五十五万円を私立高校生に支援する方針。約五十五万円という額は、大阪府の私立高校九十四校の授業料等(入学金除く)の中間値。
 大阪府私立中学高等学校連合会は、今回の措置に合わせて授業料等が五十五万円を超える場合については、私立高校側が独自に奨学金を出すなど「自助努力」を行い、低所得世帯の私立高校生を支援する方針。しかし一方で行政が私立学校の学納金の上限を決めることに繋がりかねない点に対して私立学校関係者は、懸念を感じている。
 平成二十一年度では、府内九十四校の私立高校中約半数の学校の授業料等が五十五万円超。学科によってはかなり上回る学校もあり、調整に苦慮する事態も見込まれる。
 授業料等の額が五十五万円超の学校で、そうした生徒への負担軽減措置(自助努力)を講じない高校について大阪府は、「私立高校生授業料支援補助金」の対象外とする方針。大阪府に在住していない府内私立高校生についても同補助金の対象外となる。大阪府の橋下徹知事は十一月十一日の記者会見で平成二十三年度には支援対象を年収五百万円以下の世帯の私立高校生にまで広げたい意向を明らかにしており、将来的には所得階層の七〇〜八〇%程度まで、公・私立高校のどちらも無償で選べるようにしたいとの思いを語っている。入学金に関しては別途支援措置を講じる意向。


大阪府
公立高募集定員1,000人増加へ
私立高校生授業料支援と関連


 ところで大阪府は来年度、公立高校の募集定員を前年度に比べ九百六十人(二十四クラス)増やす方針。大阪府の場合、公私協議会で、公立七、私立三との比率で生徒受け入れ分担を決めているが、この九百六十人は七対三の比率で算出される公立高校の生徒受け入れ枠とは別の募集定員。およそ千人もの募集定員を追加することについて大阪府では、昨年、公立高校全日制の生徒募集定員に対して入学できない者が出て、定時制に流れたものの、定時制でも生徒を受け入れしきれなかった、との事態を受け、募集定員を拡大することにしたと説明している。
 一方、私立高校の場合は、公立に比べ学納金が高くならざるを得ないことが入学志望者のハードルとなっている。そのため来年度から、低所得層に限っているものの、授業料等の実質無償化措置を打ち出し、入学しやすい条件整備を行ったもので、公立高校の定員増と私立高校の授業料等軽減措置とはリンクした措置と説明している。
 また橋下知事は、私立高校等への経常費助成について授業料助成に割り振って、経常費助成、総額を下げるようなことは考えていないこと、生徒当たりの単価で、生徒を集めれば集めるほど助成額が増えるような形にすれば、生徒に割り替えた形になる。そうした配分基準で助成先を、経営者から、子どもたちに(実質)変えるようなことをしたいとの思いがあることを明らかにしている。まだ決定ではないが、担当部局に(検討の)指示を出していることも明らかにしている。

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