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記事2009年11月23日 2154号 (2面) 
「論文博士」の位置付け検討
必要との声が大勢、課程博士との整理は課題に
中央教育審議会の審議動向
大学分科会大学院部会

 中央教育審議会大学分科会の大学院部会(部会長=有信睦弘・日本工学教育協会副会長)は十一月十八日、文部科学省内で会議を開き、社会人等の円滑な博士号取得について議論した。社会人等が博士号を取得するルートとしては、博士課程に在籍せずに、その研究経験と研究成果を基に論文を提出して学位を取得する、いわゆる「論文博士」が使われている。
 平成七年度の博士号取得者のうち論文博士は四八・八%(六千六百五十三人)を占めていたが、その後年々減少し、十八年度は二二・三%(三千九百八十五人)。分野別では、医学などの保健分野が約五一%、次いで工学(約一九%)、農学(約九%)の順で、この三分野で約八割を占めている。
 十七年九月に中教審が出した答申「新時代の大学院教育」は、論文博士について、授与状況や学位に関する国際的な考え方、課程制大学院制度の趣旨などから、その在り方について検討することを提言していた。
 この点、委員からは「企業で研究しながら学位取得を目指す場合もある」「大学教員の採用基準として学位が必要な場合が多い。企業と大学間の人材の流動性の観点からも論文博士は必要」「優れた研究がある人でも、高校卒だと博士課程に進めないが、論文博士なら学位が取れる」など、博士号取得を目指すシステムとして必要との意見が大勢を占めた。
 もっとも「課程博士と整合するのか、例外的に残す道で議論すべきだ」「論文博士の要件をはっきりさせてはどうか」など、課程博士を原則とした上で、特に優れた業績に対し例外的に考えるべき、との意見も聞かれた。

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