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記事2009年11月13日 2153号 (1面) 
行政刷新会議WGが事業仕分け開始
科研費や高校奨学金も対象に
軒並み厳しい「評決」
11月末にも仕分け作業終了

 各省庁が提出した概算要求や所管する独立行政法人等の組織について歳出削減、無駄排除等の観点から洗い直し作業を行う内閣府「行政刷新会議」(議長=鳩山由紀夫・内閣総理大臣)の三つのワーキンググループ(以下、WG)による事業仕分け作業が、十一月十一日から都内で始まった。仕分けの模様はインターネットで同時中継されている。文部科学省関係では八十五の事業の仕分けが行われているが、仕分け対象には科学研究費や高校奨学金(地方向け交付金)等が含まれている。


 行政刷新会議の下には、三つのワーキンググループが設けられている。各WGには国会議員と民間の有識者が評価者として割り振られている。文部科学省の事業を扱う第三WGには民主党の田嶋要・衆議院議員、蓮舫・参議院議員、枝野幸男・衆議院議員(全WG担当)、内閣府と財務省の二人の大臣政務官(同)、担当府省の副大臣(または大臣政務官)に、民間有識者として、十九人の評価者が加わっている。民間の評価者は、企業関係者や大学教授、自治体職員ら。
 事業仕分けは、まず各省庁担当者による事業説明(五〜七分)、査定担当(財務省主計局)の当該事業の論点や主計局としての考え方の説明(三〜五分)、とりまとめ役から当該事業の主な論点の発表(二分程度)、質疑・議論(四十分程度)、各評価者が「評価シート」に記入(三分程度)、とりまとめ役がWGとしての評決結果を発表(二分程度)、事業仕分けの結論は、各事業が終了後、速やかに会場に貼り出される――といった流れで作業が進められていく。
 このうち事業仕分け初日の十一月十一日には、国立青少年教育振興機構、教員研修センター、国立女性教育会館などの独立行政法人の事業も取り上げられた。テレビのニュースでも「国立女性教育会館」に関しては、大きく取り上げられたが、国立青少年教育振興機構、教員研修センターについては、「自治体・民間へ移管」となり、「国立女性教育会館」に関しては、「予算要求の大幅な縮減」との評決となった。また、子どもの読書活動の推進事業、子どもゆめ基金は「廃止」、基金は国庫へ返納となった。
 そのほかスポーツ予算は大幅な予算削減、英語教育改革、学校ICT活用の事業も「廃止」、文化関係では伝統文化子ども教室、学校への芸術家派遣、コミュニケーション教育拠点形成については、「国の事業としては行わない」との結論となった。
 行政刷新会議にとって歳出削減、無駄の排除が第一命題だけに、どの事業に関しても評価者からは厳しい評価や指摘が相次ぎ、結果として、予算の削減や廃止、地方や民間に移管などの評決が続いた。文部科学省関係では言えば、三日目の十一月十三日に独立行政法人の理化学研究所や科学技術振興機構、海洋研究開発機構の事業など八項目の仕分けが行われる。
 十一月十七日までの第一弾が終了した時点で行政刷新会議に仕分け結果が報告され、二十四日から二十七日までの予定でWGでの仕分け作業が再開される。十一月末にも仕分け作業は終了、その結果は平成二十二年度政府予算案に反映されることになる。幸いにも私学助成関係事業については、今回の仕分け対象にはならなかった。
 事業仕分けについては、政権交代前の自由民主党政権下でも行われており、その時は政策棚卸しと呼ばれていた。自民党の無駄撲滅PTが中心となって行ったもので、仕分け結果では、「国(継続)」との結論のものもあったが、例えば独立行政法人教員研修センターは「不要」、大学入試センターについては「民間」、全国的な学力調査は「今のままなら不要」との結果となっていた。


事業仕分け
全国43の自治体で実施
静岡県では私学助成も対象に


 予算編成過程で「事業仕分け」という手法を採用する地方自治体は徐々に増加している。
 事業仕分けを平成十四年度から実施している政策シンクタンク「構想日本」(加藤秀樹代表=政府・行政刷新会議事務局長)によると、地方自治体での事業仕分けは、今年十一月十日現在、四十三の地方自治体(合計六十回)で実施されている。
 都道府県レベルでは岐阜県に始まって、岩手、宮城、秋田、高知、三重など九府県に上っている。最近では、静岡県で十月三十一日から十一月二日までの三日間、構想日本と協力して事業仕分けが実施された。一班当たり六人(有識者や外部の専門家三人程度、公募で選出された県民三人程度)、三班体制で、百一の事業を「不要」から「県が実施(現状維持)」までの七種類の評価に仕分けした。この中には私学助成関係事業(私立小中高校経常費助成、私立幼稚園経常費助成、私立専修学校運営費助成、私立学校退職基金造成費助成)も含まれていた。このうち私立学校の経常費助成は幼稚園を除いて県が引き続き実施すべき事業だが、改善が必要との評価となった。私立幼稚園経常費助成は、市町村が行うべき事業との評価だった。こうした評価を参考に県は来年度予算案を編成、年明け以降、県議会で審議されることになる。一事業当たりの評価時間は、県担当課による事業説明が五分、質疑・議論が二十分、評価が五分、結果・解説が一分という厳しいスケジュールで、百一事業、予算総額約五百三十一億円を評価した。
 また十月二十九日には民主党京都府議会議員団が二十七の府の事業について仕分けを行っている。教育関係では高校生等修学支援事業費が取り上げられ、「国・広域」で行うべき事業と評価されている。

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