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記事2009年11月13日 2153号 (1面) 
文部科学省 22年度税制改正要望再提出
寄附金控除 適用下限額引き下げ
年末調整で手続きも簡素化

 文部科学省は十月三十日、財務省に平成二十二年度税制改正要望を提出した。政権交代に伴い再提出したもの。教育、文化、スポーツ、科学技術等の振興等に係る寄附税制の拡充、教育費負担の軽減、スポーツの振興などが要望の柱。
 このうち寄附税制の拡充に関しては、所得税で寄附金控除の適用下限額を現行の五千円から二千円に引き下げ、少額寄附者の裾野を広げるとともに、寄附金控除を生命保険料控除等と同様に年末調整の対象とし手続きの簡素化が図れるよう要望している。
 文部科学省によると、文部科学大臣所轄学校法人に対する個人からの寄附金は、過去三年はおよそ三百三十億円。
 これに加えて、給付制奨学金事業を行う民間団体への寄附金に係る税額控除制度の創設、研究開発力強化法に基づく研究開発法人への寄附金に係る指定寄附金制度の創設(いずれも新規要望)の実現を求めている。
 前者は、学生・生徒に対して給付制奨学金事業を行う特定公益増進法人に対する個人の寄附金について、新規に寄附金額の三〇%を税額控除する制度を創設し、従前の寄附金控除(所得控除)の適用と合わせ、寄附者が有利な方を選択できるようにする。
 一方、教育費負担の軽減では、新政権が創設することにしている「高校学校等就学支援金」について非課税措置を求めている。所得税法第九条には「学費に充てるため給付される金品」は所得税を課税しないとされているが、改めて確認を求めているもの。
 課税されると、高校の実質無償化(私立高校等の場合は授業料軽減)が実現しないことになる。地方税の個人住民税も同様の趣旨で非課税を求めている。
 また家庭の教育費負担の軽減に資する特定扶養控除の維持を要望している(所得税・住民税)。これは、政府税制調査会で扶養控除の抜本的見直しが予定されているが、現行の扶養控除や特定扶養控除が家庭の教育費負担の軽減につながっていることから、維持を求めているもの。
 仮に両控除が廃止され、代替措置が講じられなかった場合、同省では、平均的な家庭(世帯主五十歳〜五十九歳、年収約七百三十万円、夫婦と中学生・高校生の子供二人)で年間約十八万円もの増税となる、としており、授業料軽減政策の効果が薄れてしまう。

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