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全私学新聞

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記事2009年11月13日 2153号 (2面) 
全審連が三重県で総会、近藤会長を再選
就学人口減少期の私立学校新設など協議
私学の増加大事だが、良識必要との意見も

 全国私立学校審議会連合会(近藤彰郎会長=東京都私立学校審議会長)は十月二十九・三十の両日、三重県伊勢市内のホテルで第六十四回総会を開き、私立学校が直面している課題等について情報交換、協議を行った。
 総会では、近藤会長、三重県私立学校審議会の宗村南男会長の挨拶の後、長年、私立学校審議会の委員として功労のあった小野山利雄・学校法人共栄学園理事長(京都府)ら十四人が近藤会長から表彰状を贈られた。
 また総会では次期の会長と監事の選出も行われた。総会を一時中断して別室で選考委員会を開催、次期会長候補者に近藤会長が、監事候補者には廣瀬和喜監事、長谷川了監事が選出され、再開された総会で近藤会長らの再選が決まった。このほか同連合会は来年、創立六十周年を迎えるため第六十五回総会と創立六十周年記念式典を平成二十二年十月二十一・二十二の両日、東京・新宿のヒルトン東京を会場に開催することが報告された。
 その後、休憩を挟んで三つの専門部会での協議等が行われた。専修・各種学校関係の問題を扱う第一専門部会では海外留学生等の入学が見込まれる専修・各種学校の新設認可、経営不振に陥った学校法人に係る生徒等の保護が協議された。幼稚園や特別支援学校の問題を扱う第二専門部会では幼稚園の認可定員の下限、認定こども園の進捗状況等と課題、特別支援学校に係る設置認可基準及び連携事業が協議された。小・中・高校関係の問題を扱う第三専門部会では、広域通信制高校の設置認可等、他都道府県の広域通信制高校に対する取り扱い方針等、私立学校の新設及び収容定員の増に係る審議状況、学校設置会社が設置する学校の学校法人化が協議された。
 このうち第三専門部会では一部の広域通信制高校における生徒や保護者との生徒募集内容や実施内容をめぐるトラブル等については、同連合会はすでに七、八年前から実態把握を進めつつ、広域通信制高校に関する規程の改善や、広域の場合、認可された都道府県以外の複数の自治体に教育施設が展開されるが、認可以外の自治体は実態が掴みにくく、指導する権限もないことから、そうした点の改善を文部科学省に要請してきた。しかし改善策は取られておらず、問題は残ったまま。さらに教育特区を活用して株式会社立で設置される広域通信制高校も増えてきたため、問題を更に複雑にしている。専門部会でも廃校となった体育館を活用して広域通信制高校の設置に関する事前相談があったが、非常に狭隘で、個別に生徒の相談を受ける場所すらないといった事例も報告された。
 一方、就学人口が減少する中で私立学校の新設の動きに私立学校審議会として、どう対処すべきかとの問題も取り上げられた。経営面の見通しから、全国の約四分の一の県では私立学校の新設、定員増に方針を定めており、大半の自治体は原則、学校新設や定員増に抑制的な方針で臨んでいた。しかしそのほかの県では設置基準を満たしていれば認可する方針。
 ここ数年、特に大学法人による私立小学校の設置の動きが広がっているが、この日の会議では、私立学校が増えていくことは大事だが、良識ある増やし方が大切との意見が複数の委員から聞かれた。また広域通信制高校に絡んで、教育特区についても継続していくべきなのか総括が必要との意見も聞かれた。実際、特区で地元市町村に認可された私立学校の設置会社が教育事業から撤退する動きや、規模の縮小、株式会社立から学校法人化を模索する動きも出ている。全審連の調べでもすでに二県で学校法人立設立の認可申請が出ている。全審連では専門部会で出された意見の取り扱いなどを今月、協議する。

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