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記事2009年11月13日 2153号 (2面) 
短期大学コンソーシアム九州が発足
新たな短大像模索してコンセプトを全国に発信

 福岡・佐賀・長崎の三県に所在する九つの私立短期大学が「短期大学コンソーシアム九州」を結成、その発会・包括協定書調印式が十月十三日、佐賀県佐賀市のホテルニューオータニ佐賀で行われた。会長には高島忠平・佐賀女子短期大学学長が就任した。同コンソーシアムは今後、短期大学の教育研究の質の向上や地域社会振興への貢献を通して、新たな短期大学像をつくり、そのコンセプトを全国に発信していきたいとしている。参加短期大学は、会長校の佐賀女子短期大学のほか、香蘭女子短期大学(坂根康秀学長)、精華女子短期大学(菱谷信子学長代行)、東海大学福岡短期大学(高橋守人学長)、長崎女子短期大学(江副功学長)、長崎短期大学(安部恵美子学長)、西九州大学短期大学部(福元裕二学長)、福岡工業大学短期大学部(山藤馨学長)、福岡女子短期大学(坂井克己学長)。今後、他の短期大学にも呼びかけ参加を募っていく予定。発会調印式後、古川康・佐賀県知事による記念講演(次号掲載)や記念研究会が開かれた。


 短期大学コンソーシアム九州は短期大学のみのコンソーシアムとしては日本初としており、その設立は、文部科学省の平成二十一年度大学教育充実のための戦略的大学連携支援プログラム(GP)に採択された取り組み「地域の人材育成に貢献する短期大学の役割と機能の強化のための戦略的短大連携事業」(以下、戦略的短大連携事業)に盛り込まれているもの。
 戦略的短大連携事業で取り組むのは、@短大教育の到達目標の設定、A独自の初年次教育や教養教育の開発、B職業教育・キャリア教育における地域の高校との連携、C教職員対象のFD・SD活動の推進、D地域ニーズに即応する人材養成プログラムの開発、E在学生・卒業生のキャリア支援等の教育実践活動、などとしており、これらを同コンソーシアムで行っていくとしている。
 近く実施予定の活動としては、望ましい短期高等教育についてのシンポジウムの開催、社会人育成講座の開講、FD・SD研修の共同実施など。また、既に前政府からの要請で職業訓練としての介護福祉士養成の委託を受けているとしている。
 同コンソーシアムの組織は、運営協議会の下に推進委員会が置かれ、その下に高校短大連携部会、教育課程・内容部会、FD・SD研修部会、学生支援部会、地域人材養成部会が置かれる予定。研究センターも併設され、センター長には吉本圭一・九州大学大学院教授が就任する。事務局は当分のあいだ会長校となった佐賀女子短期大学に置かれる。
 記念研究会では四つの報告が行われた。
 センター長に就任する吉本教授は、「短期大学コンソーシアム九州・発会までの歩み」を紹介、前身となったのが二〇〇二年九月に設立したCC研(短期大学の将来構想に関する研究会)で、これは短期大学の発展と存続のための改革論議を地方からとの趣旨で始まったこと、これまでに二十五回の公開研究会や研修会を開いたほか、短期大学教育の成果を検証するために調査・研究を実施してきた、短大の戦略的パートナーシップが重要だなどと述べた。
 「短大ステークホルダー調査報告@」と題して話した長崎女子短期大学の武藤玲路准教授は、高校の進路担当者対象の調査の結果、高校進路担当者は、高校訪問する担当者の資質が重要である、短大の独自性を打ち出してほしい、出口保証をしてほしい、と考えていることが分かったなどと報告した。
 「短大ステークホルダー調査報告A」について話した佐賀清和高校進路指導主任の木村浩哲教諭は、短大進学者は地元志向であるため、実績をしっかりフィードバックしてほしい、学校の良さを伝えていくのには口コミの影響が大きく進路決定には保護者(母親)へのPRがカギだなどとした。また、短大は就職率一〇〇%などというが信憑性がない、就職率を出すときはその分母を出してほしい、などと話した。
 「短期大学コンソーシアム九州が目指すこと」と題して報告した長崎短期大学の安部学長は、教育の充実、短大間ネットワークの拡大・充実を行いながら、地域経済・文化の活性化の担い手を育成していきたいと述べた。将来戦略については、ステークホルダーとの対話の促進により短期大学の味方を増やすこと、さらに大学や専門学校、海外の短期高等教育機関との連携を図ることである、などと話した。

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