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記事2009年10月3日 2149号 (1面) 
22年度概算要求再提出へ 10月15日が期限
「高校無償化」は間接方式に

 政府は九月二十九日の閣議で「平成二十二年度予算編成の方針」を決定。麻生政権の下で作成された来年度政府予算に対する「概算要求」を白紙撤回し、各省庁に概算要求を十月十五日までに再提出するよう求めた。民主党がマニフェスト(三党連立政権合意書を含む)に盛り込んだ「子ども手当創設」や「公立高校実質無償化」といった新規重点施策実現のため、既存予算についてはゼロベースで厳しく優先順位を見直し、できる限り要求段階から積極的な減額を行うよう求めている。


 平成二十二年度政府予算に対する各省庁の概算要求は、麻生政権の下、今年七月一日に閣議了解した「概算要求基準」に沿って八月末日までに財務省に提出された。
 文部科学省の私学助成関係要求額は、前年度比七・二%増の四千七百七十五億四千九百万円。
 そのうち経常費補助金に関しては、私立大学等が前年度比五・八%の増額、私立高校等は三・五%の増額要求となっていた(通常、概算要求が満額認められることはなく、財政当局の査定で増額幅は大きく圧縮される)。
 しかし政権交代で状況は一変。まず平成二十一年度補正予算の執行が停止され、新規重点施策のための財源捻出作業が各省庁で始まった。どれだけ確保できたかを十月二日頃までに菅副総理や藤井財務大臣等に報告することになっている。
 文教関係で重点施策の公立高校実質無償化(私立高校では授業料を軽減)に関しては、直接、保護者家庭に年額十二万円を配るのではなく、学校(地方自治体)にその予算が回り、結果として公立高校生の保護者家庭の授業料負担がなくなるということになるようだ。直接家庭に配っては、事務負担が大きく、授業料以外に充当されかねないとの判断から間接支給となるようだ。私立高校の場合は、基本的には公立と同額の年額十二万円が補助されるが、世帯収入が一定額以下の場合、その補助額は年額二十四万円となる。具体的にどういう形で実施されるかは、十月十五日の概算要求提出以降にはっきりするが、公立と同様、学校に補助が出される方式で、既存の私学助成に上乗せするとの構想も出ている。私立大学等に関しては奨学金の抜本的充実が図られる見通しだ。
 充実する政策がある一方で、そのために予算額が削減、あるいは廃止となる政策も出てくる。
 また総務省では「ひも付き補助金を原則廃止し、一括交付金に切り替える」ことや、地方交付税措置の見直しも進める意向で、全国知事会もそうした改革の実現を関連大臣等に要請している。
 私学関係補助金がこうした改革の中で影響を受ける可能性もある。
 いずれにしても十月中には今後の文教政策の基本的方向性を示した概算要求がまとめられる予定だ。

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