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記事2009年1月23日 2124号 (1面) 
中教審 キャリア教育・職業教育特別部会初会合
新校種創設等制度改正視野に
学校教育から社会・職業へ 円滑な移行など検討
部会長に田村哲夫渋谷教育学園理事長就任
 中央教育審議会のキャリア教育・職業教育特別部会の初会合が一月十六日、文部科学省内で開かれ、三十人の委員による審議がスタートした。初会合で銭谷眞美・文部事務次官は、職業教育は改正教育基本法にも明記された大きな柱であり、雇用状況や産業構造の変化などから見直す時期にきているとしたうえで、幅広い視点から精力的な審議を要請した。この日、部会長に選出された田村哲夫・渋谷教育学園理事長は制度改正を含め自由に議論してほしい、と要請した。

 委員の顔ぶれは、大学教授ら学識経験者、短期大学関係者、高校関係者、高等専門学校関係者、専修学校関係者、教育委員会関係者ら教育関係者のほか、企業関係者、労働組合関係者ら(4面に委員名)。田村部会長をサポートする副部会長には木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長が指名された。同部会は初等教育から高等教育にまでわたる幅広い審議内容となるため総会直属の部会との位置づけ。初会合では、諮問事項である「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方」に沿って各委員が自身の問題意識などを発表したが、普通科教育が重視され、専門教育・職業教育への進学が二の次にされてきたこと、世の中のニーズと大学で教えている教育に相違が生じていることへの反省とも取れる意見や、普通科教育の中で生きる術(すべ)を身につけないまま社会に押し出される若者が、社会に出ても非正規雇用で(職業人として)学べない問題点等が報告された。
 同省の学校基本調査結果によると、高校普通科卒業者に関しては、進学も就職もしていない者が平成二十年三月卒で五・三%おり、専門学科卒の三・九%を上回っていることから、反省点は多いとの意見も出された。
 キャリア教育では、個人の興味・関心に比重を置き過ぎて、社会のために何をするのかとの投げかけが少ないこと、教える側の教員についても社会経験が少ないことの問題などが指摘された。
 高等教育に関しては、短大関係者から、高等教育の各学校種がどのような役割・分担を果たすべきかが重要であること、専修学校関係者からは、「とにかく大学へ」という教育に疑問の声が上がった。
 企業関係者からは教育が社会から隔離されていることの見直しの必要性などが指摘された。
 同部会は二月中には二回、計六時間の審議を行うことにしており、審議事項の、学校から社会・職業への円滑な移行のため学生、生徒に求められる基礎的・汎用的な能力を初等中等教育、高等教育それぞれの段階に即して明らかにすること、体系的なキャリア教育の充実方策、高校、高等教育における職業教育の在り方について検討していくことになる。
 その中では高校専門学科に関して、高等教育進学者が四割以上にも上ることから、高等教育機関との接続の円滑化、専攻科の位置づけなどが、高等教育では各学校種の目的・役割の明確化、職業教育に特化した新たな高等教育機関の創設などが検討される予定。
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