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記事2009年1月23日 2124号 (2面) 
外国高校留学、36単位までOK
特区評価・調査委員会教育部会
インターネット大学全国展開先送り
株式会社立学校の 特例廃止意見も
 政府の構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会教育部会(部会長=金子郁容・慶應義塾大学政策・メディア研究科教授)は一月十五日、都内で今年度最終の会合を開き、インターネット授業のみによるサイバー大学(株式会社立大学)に関する追加調査結果を文部科学省から聴取するなどし、教育部会として平成二十年度評価意見の取りまとめを行った。
 その結果、当面、行うとしていた発掘調査機関へのインターンシップ実施等が行われていないことなどから、インターネット授業のみによる大学設立の全国展開については現時点では難しいと判断。同大学の今後について引き続き注視していくことを決めた。
 また学校設置会社による学校設立事業(株式会社立学校、特例措置816)の全国展開に関しては、多くの学校で生徒数が募集定員を下回り赤字経営で、早くも学校閉鎖を決めたケースも発生しており、しかもセーフティーネットを果たすべき特区計画認定自治体が株式会社立学校の実態を的確に把握していないなどの問題があることから、現時点での判断は難しいとの文部科学省の見解を認め、全国化するかどうかの評価を一年先送りすることを決めた。
 委員の中には、すでに五年間の評価で株式会社立学校制度の弊害ははっきりした、もう特例措置は廃止すべきだとの意見も聞かれたが、株式会社立小学校など、うまくいっているケースもある、として平成二十一年度に再度評価することとなった。
 加えて株式会社立学校に関しては、多くの学校設置会社が補助金等を受けられる学校法人化を望んでいることから、学校法人への円滑な移行を促進する経過措置の検討などを文部科学省に要請していく方針だ。
 また高校生が外国の高校に留学した場合、そこで修得した単位については三十単位まで国内の高校等での履修とみなすことができるが、その上限を三十六単位まで拡大するとの特例措置(824)については、文部科学省も特段の弊害はないとの判断から、平成二十一年度中に全国展開することとなった。
 さらに市町村教育委員会がその市町村のみ効力を有する「特別免許状」を授与できるとの特例措置(830)については、弊害があるかないかの判断が現時点ではつかないとの文部科学省の主張を受け入れ、平成二十二年度以降に改めて評価を行うことになった。
 文部科学省でも弊害の有無の調査などを進めていくが、当面は「特別非常勤講師制度」の活用を図っていく方針。
 特別免許状の授与に関しては、専門性の観点から少し基準が緩いのではないかと思われる例もみられた。
 このほか、かつての構造改革特別区域研究開発学校設置事業が昨年四月、全国展開が実現し、「教育課程特例校制度」として誕生したが、その新制度の応募状況などが報告された。この教育課程特例校制度は当該学校又は当該地区の特色を生かした特別の教育課程を編成して教育を実施する必要等が認められる場合に、教育課程特例校として文部科学大臣が指定し、学習指導要領等の教育課程の基準によらない特別の教育課程の編成・実施を可能とするもの。昨年十一月に十日間行った新規指定の募集では約三十件の応募があったが、現在、文部科学省で審査中で、平成二十年度中に指定される予定だが、その大半が英語に関する取り組みで、そのほか小中一貫教育、道徳と特別活動と総合的な学習を融合させた教育計画もみられるという。
 文部科学省は、来年度は五月と十一月に申請を受け付ける予定。
 教育部会でのこうした結論については、親委員会である構造改革特別区域推進本部評価・調査委員会の一月二十九日に予定されている会合に報告し、同委員会としての評価が同日確定する予定で、その後、同本部の麻生太郎本部長(総理)に提出され、二月中旬以降に閣議決定される予定。
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