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記事2008年9月3日 2108号 (1面) 
私学助成予算4.4%増額を要求
文部科学省が21年度概算要求提出
教育の質向上等へ重点支援
耐震改修事業予算を大幅増額
文部科学省は八月末日、平成二十一年度概算要求を財務省に提出した。私学助成関係の要求総額は、前年度比四・四%増の四千六百九十九億五千六百万円。このうち大学関係では、いわゆる政府の「骨太の方針」に挙げられた重要課題の実現のため、医学部定員増への対応や教育の質向上、地域活性化への貢献、国際化の推進等に重点的支援を行う。高校等に関しては、新学習指導要領や教育振興基本計画を踏まえた特色ある教育を行う学校に助成する都道府県への支援を充実する。

 国の私学助成の中核である経常費補助については、「私立大学等経常費補助」が前年度比二・二%、七十億円増の三千三百十八億六千八百万円の要求で、「私立高等学校等経常費助成費等補助」は、同二・九%、三十億円増の一千六十八億五千万円の要求。このうち私立大学等経常費補助に関しては、私立大学等の運営に必要な基盤的経費を確実に措置する観点から一般補助の要求額を前年度比三億五千三百万円増の二千百三十九億五千万円とし、また各大学等の特色を活(い)かしてきめ細かな支援を行う特別補助については、前年度比六十六億四千七百万円増の一千百七十九億一千八百万円を要求している。
 私立高等学校等経常費助成費等補助については、国が都道府県の私学助成の一部を補助するもの。このうち一般補助は前年度比十四億一千六百万円増の九百三十億一千二百万円の要求で、生徒等一人当たりの補助単価は一・九%の増額。特別補助では、新学習指導要領や教育振興基本計画を踏まえた特色ある教育を行う学校に助成する都道府県に補助の充実を図る。
 具体的には教育改革推進特別経費の補助メニューを変更し、私立高校等での伝統文化への取り組みや環境教育、食育、体験教育、キャリア教育などの推進を図る。同経費の予算要求額は前年度比一八・九%増の七十億五千五百万円。
 一方、施設・設備関係の補助金では、近年、大規模地震が日本各地で頻発し、学校施設の耐震化が急務となっていることから学校施設耐震改修事業の拡充と、低炭素社会の実現に向けた施設整備を支援するエコキャンパス推進事業の創設が特徴。
 このうち「私立大学等教育研究装置・施設整備費補助」については、前年度に比べ五六・六%、五十九億七千七百万円増の百六十五億三千四百万円の要求。その中で学校施設の耐震補強工事を目的とした学校施設耐震改修事業は、前年度予算額の七倍近い六十一億二千万円を要求している。新規のエコキャンパス推進事業は五億円の要求。また二十年度の情報通信施設、情報通信装置関係の補助事業は、両者を統合し、新たにICT活用推進事業としている。学校法人の使い勝手などの観点から補助事業を一体的なものとした。

新規に「エコキャンパス推進事業」
耐震補助危険性高い建物には補助率引き上げ

 「私立高等学校等施設整備費補助」は、前年度の二倍強の四十四億八千九百万円の要求。この事業は私立の高校、中等教育学校、中学校、小学校、特別支援学校を対象としたもので、同補助の大半を占める学校施設耐震改修事業の予算要求額は前年度比二十三億百万円増の三十七億八千万円。これは耐震診断を含め、学校法人の耐震改修工事に対する補助で、補助率は三分の一以内。ただしIs値(耐震指標)が、地震によって倒壊、崩壊する危険性が高いとされる〇・三未満の施設については補助率を二分の一以内に引き上げる。また同補助ではこれまでの私立学校エコスクール整備推進モデル事業を見直して、新たにエコキャンパス推進事業とする。この事業は太陽光発電や校舎内外の緑化、雨水・排水の再利用など低炭素社会実現に向けた環境に配慮した校舎施設の改造工事への補助で、予算額は前年度比一億一千万円増の二億円。同補助にはこのほか防犯対策やアスベスト対策などを目的とした防災機能強化施設整備費補助、校内LANの整備等を目的とした高機能化整備費補助がある。
 「私立大学等研究設備等整備費補助」については前年度比〇・二%、八百万円増の五十二億七千七百万円の要求。このうちこれまでの情報処理関係設備は対象を広げ、大学等の教育に必要な設備整備費について支援する教育基盤設備との補助メニューとする。予算額は前年度とほぼ同じ十四億八千万円。コンピュータ等IT教育設備の購入費の一部を国が補助する「私立高等学校等IT教育設備整備推進事業」については、前年度予算額と同額の十億円の要求。補助対象や対象事業の条件等に変更はない。
 老朽校舎の建て替え整備事業について利子助成を行う「私立学校施設高度化推進事業費補助」については、前年度比七・〇%、八千二百万円増の十二億五千九百万円の要求。特に地震防災対策特別措置法が今年改正されたことを受けて平成二十一、二十二年度の利子助成率の上限を、大学等、高校等それぞれについて今年度より〇・五ポイント引き上げ二・一%、一・六%とする。「日本私立学校振興・共済事業団貸付事業」は、前年度と同額の六百億円の規模。
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