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記事2008年9月23日 2110号 (2面) 
理解訴える提言書や冊子公表

(社)教科書協会
価格改訂等で教科書の安定的供給を


 教科書発行会社四十四社で組織する社団法人教科書協会(小林一光会長)は、九月二日、「平成二十年度教科書発行の現状と課題」と題したリーフレットを公表した。先の見えない少子化、伸び悩む定価、原材料の高騰など経営基盤が揺るがす教科書をめぐる現状と課題などを訴え、教科書無償給与制度の堅持と教科書の定価引き上げに対する理解を要請している。
 それによると、教科書会社が抱える問題点としては、昭和六十年から始まった児童・生徒の減少により、二十年以上にわたって構造的な不況が続き、教科書売上げが年々大きく減少していること、教科書の定価が平成十四年度と比べるとこの六年間で小・中学校では三・三%、高校では二・一%低下していること、教科書の大幅なページ増、体様の自由化や著作権処理経費の増加などで編集経費・製造経費が増大していることなどを指摘。
 教科書の定価(十九年度)に関しては、小学校書写が百四十三円、小学校保健が百八十九円、小学校図工、音楽が百九十四円など、大学ノート一冊(B5・五十ページ、二百円)や週刊誌(三百十円)より安価だとしている。また財政論から取りざたされている教科書の有償化や貸与制は児童等の学習や教員の指導に大きな問題を生じさせるとし、義務教育教科書無償給与制度の堅持等の重要性を訴えている。


 



 



(社)日本教育工学振興会
諸外国に後れとる日本の教育情報化


 社団法人日本教育工学振興会(JAPET、坂元昂会長)は、八月六日、提言書「IT新改革戦略における教育の情報化の実現に向けて〜このままでよいのか日本の教育(教育の情報化)〜」を公表した。
 財政事情の厳しさからIT環境整備が諸外国に比べ大きく立ち遅れている現状に警鐘を鳴らし、IT環境の更なる充実を関係機関に求めたもの。
 それによると、学校でのインターネットアクセスは世界百二十七か国中、日本は二十六位、教育システムの質は二十八位、理数教育の質は二十八位、政府の将来ビジョンの中でのICTの重要性は二十五位などで、フィンランドや韓国、シンガポール、台湾などに大きな後れを取っている、としている。
 そのうえで、具体的には、校務の情報化の推進(電子文書化の促進、教員一人一台のコンピュータ配備促進など)、普通教室でのICT活用推進(クラス用コンピュータ四十台など)、ICT活用指導力向上のための研修(教員免許更新時にICT活用指導に関わるコース受講の必修化、大学教職課程でのICT活用指導に関わる科目の必修化など)、サポート体制の整備、ICT関連予算配分の改善(地方交付税使用結果の公表など)、省庁連携による国家ビジョン策定と政策実施、教育CIOの配置などを提言している。

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