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記事2008年9月13日 2109号 (1面) 
わが国の教育への公財政支出GDP比最低に
OECD公表
高等教育 各国平均の半分以下の0.5%
卒業率は最も高く90%
 二〇〇五年における我が国の教育機関に対する支出額の対GDP(国内総生産)比は経済協力開発機構(OECD、三十カ国が加盟)加盟国平均の五・八%を大きく下回る四・九%で、このうち公財政支出の対GDP比はデータのある二十八カ国中、最下位の三・四%だったことが、九月九日、同機構が発表した『図表で見る教育―OECDインディケーター(2008年)』で明らかになった。経済活動のグローバル化で、近年、教育分野でも国際競争力が求められているが、同機構では高齢者増による社会保障費の支出増が見込まれる中で国の教育投資のあり方や新たな財源の模索が今後の課題と指摘。また日本の教育費の伸びが経済の伸びや他国の教育費の伸びに追いついていないとしている。多くの国では教育投資が後にそれを上回る税収となっているとも説明している。
 教育機関に対する支出額の対GDP比三・四%は、全教育段階についての比率。そのうち高等教育に限ってみると、高等教育機関に対する支出額の対GDP比は一・四%。OECD平均の一・五%に近い水準だが、そのうち公財政支出額の対GDP比は、我が国が〇・五%なのに対して、OECD平均は一・一%、アメリカ合衆国は一・〇%、イギリスは〇・九%、フランスは一・一%、ドイツは〇・九%と、我が国を大きく上回っている。そのため私費負担比率(対GDP)は、我が国では〇・九%と高い。イギリスは〇・四%、フランス、ドイツは〇・二%だ。アメリカ合衆国の私費負担は一・九%。
 高等教育機関への教育支出を公私の負担割合でみると、我が国は公費負担が三三・七%、私費負担が六六・三%で、二十七カ国中、下から二番目。日本の高等教育は公費支出額が少ない私学が大半を占めていることが影響しているようだ。それでも高等教育機関におけるわが国の中退率は二十七カ国中最も低い一〇%でOECD平均の三一%を大きく下回り、成果を挙げているとしている。
 高等教育に関する政策を四つのタイプに分けると、スウェーデンやノルウェーなど北欧諸国では授業料は無料、学生が奨学金等を利用できる比率も高く、成果(卒業率)が高い。アメリカ合衆国は授業料が高いが、奨学金は充実、しかし教育成果は低調。我が国は、授業料は中程度の高さで、奨学金等は少ない。それでも欧州諸国と比べ成果を挙げている。オーストラリアは、授業料は我が国と同程度だが、奨学金等は充実し、我が国を上回る成果を挙げている。
 初等中等教育の教育機関に対する公財政支出の対GDP比は二・六%で二十九カ国中二十七位。公立が圧倒的に多いことが影響していると思われるがOECDの平均三・八%を大きく下回っている。我が国は教育投資が低い方ながら、国際的な学力調査では上位グループにあり、「教育投資の割には教育成果が高い」と指摘しているが、それも最近ではかげりが見え始めているといえる。
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