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記事2008年8月13日 2107号 (7面) 
新校長インタビュー (163) ―― 中央大学附属高等学校
校長 三枝 幸雄氏
大学受験教育に偏らない教育
専門教育受けるための基本的能力育成



 四月から中央大学附属高等学校(東京都小金井市)の校長に三枝幸雄・中央大学法学部教授が就任した。同校は、自主・自治・自律の精神を尊重する校風を伝統に、「明るく・強く・正しく」を校訓とする。
 「全教科を幅広くバランスよく学ぶために全教科主義を採用し、大学受験教育に偏らない教育を行っていることが、本校の最大の特徴です」と三枝校長は言い切った。クラブ活動はじめ、学校行事、それに良好な人間関係にも力を入れ、知・徳・体のバランスの取れた教育を行うことが、同校の基本的考えだ。この考え方は、大学での専門教育を受けるための基本的な能力、アカデミック・リテラシーを身につけるためだ。このような方針はさまざまな場面で表れている。
 高校三年間で古典から現代ものまで、ジャンルも幅広く、課題図書百冊を読破するようになっている。同校の図書館は独自の検索システムを構築している。蔵書数は十四万冊で「高校としては日本一でしょう」(三枝校長)と言う。また、「国語表現」の授業では三年の二学期に「卒論」を八千字で仕上げるようになっている。卒論を仕上げるにあたって、リサーチ、プレゼンテーションの仕方を指導している。
 キャリア教育の一環として、二年生を対象に「ステップ講座」が、三年生を対象に「特別授業」が用意されている。「ステップ講座」では、大学教授が専門分野を高校生向けに分かりやすく講義する。「特別授業」では、生徒が進路を決めた後、中央大学教授が「ステップ講座」より少し進んだ授業を行う。さらに、英語と数学は基礎からの積み上げの知識が必要なので、一学年で英語T、二学年で英語Uと数学Uが二クラスを合併して三分割の習熟度別少人数授業を実施している。
 「受験勉強とは違った、いろいろな学びをしてもらいたい。本校では目先の勉強ではなく、基本的知識を含めた教養を身につけてほしいのです。そして、広くアンテナを張って、対応力のある能力を養ってほしいです。それが可能になるのが附属校の強みです」と三枝校長。
 三枝校長の、大学教授としての専門は十五、十六世紀英文学。また、中央大学附属中学校(二〇一〇年四月一日開設予定)設立準備室長も兼ねており、多忙な生活が続いている。

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