こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2008年7月3日号二ュース >> VIEW

記事2008年7月3日 2103号 (1面) 
小・中学校の適正配置等で作業部会初会合
年内には報告作成、小川正人氏が主査に就任
学校規模、通学基準など課題
 就学人口減少期を迎えた公立小・中学校の適正配置、コミュニティ・スクール、学校選択制――三つの課題を検討する「小・中学校の設置・運営の在り方等に関する作業部会」の初会合が七月二日、都内のホテルで開かれた。この作業部会は、中央教育審議会初等中等教育分科会の中に新たに設けられたもの。初会合で出席の各委員がこれら三つの課題に対する問題意識などを発表した。
 主査には中教審臨時委員の小川正人・放送大学教授・東京大学大学院教育学研究科客員教授が就任した。同作業部会では三つの課題に関して学識経験者らからヒアリングを行いつつ、論点の整理を進め、年内には報告をまとめる予定。七月中に一回ないし二回の会合を開く予定。小川主査は就任に当たって、学校の適正配置というとマイナスイメージがあるが、より豊かな教育環境整備につなげていきたい意向を明らかにした。公立の小・中学校に関しては、出生率の低下から小規模校が増えており、地方財政の厳しい中で小学校の統廃合などが進められている。
 この日、統廃合に関して委員からは、「統合によるメリットを保護者に見せなくてはいけない」「島根では、これまで禁句だった統合が、今では子供の競争環境、多くの友人を得るということで保護者から求められている」「ほとんどの自治体では新しい学校をつくる予算は無い」「都心では私学の影響を考えないわけにはいかない」「小中一貫校を視野に入れていくべきだ」などの意見が出された。
 学校の適正配置に関しては、文部科学省から、▽学校規模の基準(教育的観点以外の要素は考慮する必要が無いか、学校の規模として学級数で示すことが適当かなど)、▽通学基準(交通手段の発達状況等を踏まえ通学基準をどのように設定すべきかなど)、▽留意事項(学校を取り巻く地域とはどのような範囲かなど)、▽市町村・都道府県・国の役割などの論点例が参考として提示された。特に都内の公立学校関係者からは統廃合を検討するうえでの私学の存在の大きさを指摘する意見が聞かれた。コミュニティ・スクールと学校選択制に関しては、学校改善に対するかかわりという点では共通するとの指摘や、学校選択制の実施に関しては、デメリットを指摘する意見が目立ったが、「そのデメリットを減らすことを検討すべきだ」「学校選択でしか学校改善ができない地域がある」「学校選択の中に(選択した者の)義務を持ち込むことが必要」「学校は友人関係やうわさで選択されている」などの意見が聞かれた。
 同作業部会の委員は十七人。公立学校長や教育委員会教育長、学識経験者らが参加。私立学校関係者は入っていない。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞